みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『光の帝国 常野物語』 恩田 陸

 

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

 

 おすすめ ★★★★★

 

内容(「BOOK」データベースより)

膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。

 

常野物語。。不思議な能力を持つ常野一族のお話。
全て読んでいたと思っていたら、『エンドゲーム』を読んでいない事に気づき、ずっと積んでたんだぁと、、本棚を探しても見つからず、、読んだ気にも、、持っていた気にもなっていました。。うっかり者。。ポチる。。

『エンドゲーム』が来るまでに2冊再読。。『光の帝国』の連作短編集。。常野一族のしまったり、響いたり、遠くを見たり、遠くに行ったり、裏返したり、、、懐かしい。。お気に入りは「大きな引き出し」「二つの茶碗」「オセロ・ゲーム」「国道を降りて…」(←表題作を読むとグッと来ます)

 

 

『ガダラの豚』 中島 らも

 

中島らも『ガダラの豚』全3巻セット (集英社文庫)

中島らも『ガダラの豚』全3巻セット (集英社文庫)

 

 

 おすすめ ★★★★★

 

長女を事故死で失う民族学教授で人気タレント・大生部多一郎(アル中)

妻の逸美は神経を病み、新興宗教にのめり込む。
視聴率に悩むテレビ局は「大生田ファミリーの呪術大陸アフリカアドベンチャー」という特番企画を立て、大生部家族、助手、超能力者、スタッフ数名を呪術師の村クミナタトゥへ向かわせる。
到着した一行は村が大呪術師バキリ☠️により呪われている事を知り、バキリと面会をする。そして最大の禁忌、、バキリの最強キジーツ(呪具)を攫い逃げる。バキリはどこまでも追いかけてくるの😱呪いをかけられ変死続々😱
大生田ファミリーの命がけの闘いと家族愛。。ほんとに壮大なエンターテイメントでした。
(神経を病んでいた逸美がメキメキ強くなっていく。。子供を守る母の愛とアル中の夫への厳しい妻の愛が逞しくて素敵な女性でした。)

驚きなのは著者の参考文献の多さが物語る超能力、超常現象、呪術、占術、宗教の知識。。そのトリックを科学的、物理的、文化的背景、心理学などの様々な観点や過去の歴史的な呪い、マジックの例をあげながら、暴いていく。。さらに宗教の洗脳の仕組みから洗脳はずしの仕組み。。呪術国アフリカ的裁判のお話などなど。。なかなか興味深い。。

光と影。救いともなり恐怖ともなる。。
呪力が強力であればあるほど、恐怖に陥り、救われたい一心で信奉していく。。
宗教も不安を抱え込む心の葛藤の中で奇跡的な力を見せつけられた時、、絶対的存在として心に根強く植え付けられていき、希望の光を求め、信仰していく。。
どちらも洗脳と暗示で暴徒化していき、、疑問を抱く事なく震撼する事件に発展していく恐れもある。。
深く知れば知るほど、興味と恐怖の世界でしたが、、とても面白いストーリーだったので、楽しかったです。

 

『こころの匙加減』 高橋 幸枝

 

100歳の精神科医が見つけた こころの匙加減

100歳の精神科医が見つけた こころの匙加減

 

 おすすめ ★★★★☆

 

本のグループで紹介され、今のわたしには必要な気がして、早速手に取り読みました。

著者のいくつになっても大きな夢を持ち、、挑戦し続けていく姿勢には、、生きる力の違いを見せつけられました。。(90過ぎて新たな夢を持つ力の源。。あやかりたい。。)

生活面では普通の暮らしを、日々誰に頼らず自力で行うことの大事さ。。新しい物への関心、興味の範囲を狭くしないなど(80歳からお酒に興味を持ち、晩酌始めたそうです🍶)
できそうだけど、意識すると難しいなぁ。

恐怖だったのは、「おひとりさま」の慣れ。。わたしは自宅で仕事、家事、子育てをしているので、「おひとりさま」の時間が人より多め。。(すでに慣れちゃったなぁ)。。おひとりさまの末路(寂しい)。。小さなコミュニティ大事にしよう。。

共感した部分は、、「他人の気持ち」への理解度。「できる」「できない」ではなく、、
「理解できないこともある」と認識しながら接すること。。人の心の内、内面の声に干渉せず、大切にすること。。とても大事。。心がけていきたい。。

匙加減の見極める眼力が大人に必須の力。
この見極めがとても難しい。。自分にとってのちょうどいい匙加減。。自分の匙加減を見極めることと同時に、他人の匙加減に無闇に踏み込まないこと。。
著者は現役精神科医であるが、不躾な言葉を投げかけられることも多々ある。。しかし、その相手を「かわいい」と。。裏表のない患者さんたちがとても「かわいい」と。。この境地に達するのは並大抵ではないが、、他人との価値観の違いを楽しめるくらいの気持ちは持ち続けたい。。

楽しみながら人生をより豊かに。。
はい(*´꒳`*)/

『めがね』

 

めがね(3枚組) [DVD]

めがね(3枚組) [DVD]

 

おすすめ ★★★★☆

 

真夜中に、、めがねがビールを飲みながら、、めがね達を観て、、クスリと笑う。。
丑三つ時の時間を楽しむめがね(-ロωロ-)✧...

 

前半はめがね目線で観ちゃう。。どんなタイプのめがねだろ?フレームとか、、もたいまさこ安定のめがねとか。。めがねの微調整は、しないんだぁ、、クイっとする人がいないなぁ、、とか。。
小林聡美さん(中学の先輩、、呼び捨てにできない)、、たまに光浦靖子に見えちゃう。。淡々と冷めた感じも笑。。もたいまさこ(サクラ)が出てくると、、なぜかニヤける。。中盤から出てきた加瀬亮。。めがね似合う。。ビール、美味しそうに飲むなぁ。。つられてわたしも2本目行った

ストーリーも楽しむ。。真夜中に観てるからかなぁ。。会話や表情だけで笑っちゃう( ̄▽ ̄)
景色とまったり感、、和む。
タエコが観光地もない島に大きな荷物を持って訪れる。。宿泊先(ハマダ)の人たちと馴染めず、出ていく。。途方に暮れていたタエコを迎えにきたサクラ。。タエコが荷物を捨ててサクラの自転車の後ろに乗っていくシーン。。ウルッと来た。。負荷を捨てられる。。自分の意思ではなかなかできないけど、、フッとそんな瞬間が訪れた時、、どんなに心が軽くなるのかなぁ。。。別に不幸ではないの。。でも生きてると、知らぬ間に責任や義務感に追い込まれる時がある。。知らぬ間にね。。そういう事からの解放感。。こんな場所をひとつでも見つけられたら、、どんなに幸せなんだろう。。

 

「大切なのは、、焦らない事。。焦らなければ、、その内きっと。。。」

旅はずっと続くわけではない。。現実に戻るから、、また旅をするのね。。

 

多少?酔っ払いの感想だけど、、気の抜け方。。ゆっくり自然に身を委ね、、めがねが無くなっても、、焦らずに。。。

 

 

『焦茶色のパステル』 岡嶋 二人

 

焦茶色のパステル 新装版 (講談社文庫)

焦茶色のパステル 新装版 (講談社文庫)

 

 おすすめ ★★★★☆

 

内容(「BOOK」データベースより

競馬評論家・大友隆一が東北の牧場で銃殺された。ともに撃たれたのは、牧場長とサラブレッドの母子・モンパレットとパステル。隆一の妻の香苗は競馬について無知だったが、夫の死に疑問を抱き、怪事件に巻き込まれる。裏にある恐るべき秘密とは?ミステリー界の至宝・岡嶋二人のデビュー作&江戸川乱歩賞受賞作。

 

競馬評論家の大友隆一が殺害された。。牧場長とサラブレッドの母子・モンパレッドとパステルと共に銃殺。。離婚を考えていた妻・香苗は、事件により「大友隆一の妻」である事を実感していく。夫の死に疑問を持つ香苗は隆一の仕事仲間たちと、謎の解明をしていくうちに、、競馬界を揺るがす事件に辿り着いてしまう。。

競馬界に無知である香苗(読者さん立場)は、隆一の職場「パーフェクトニュース」の仲間で香苗の友人・芙美子(知識豊富で行動力抜群)、馬好きが集まる喫茶店マスター真岡、「パーフェクトニュース」の山路社長から競馬界のレクチャーを受ける。。説明してくれるから、競馬界の事、、わからなくても大丈夫
東北にある幕良牧場。。殺人事件という日常とかけ離れた事で繋がる東京と東北。事件の本当の狙いは、、人?馬?
ラストが好き。危険を顧みず、事件に踏み込んでいった香苗と芙美子はとてつもない大きな真実に辿り着いても、、所詮、被害者の関係者。。事件解決は警察に任せましょう。

今は活動していない岡嶋二人のデビュー作。。面白かった。。謎の解明を一つずつ丁寧に説明され、さらに謎を呼び、、また解明。。優しい。。重層的で複雑化されていくのに、読みやすい。。素晴らしい。。

昔、馬主でした。。G1優勝目指して牧場管理、調教、馬の生産。。お金をたくさん使いました。。人気馬の育成は種馬(血統のあるサラブレッド)との掛け合わせが大事です。。(ゲームです)
なかなか深みのあるギャンブルだなぁと、、感じました。

『たかが世界の終わり』

 

 おすすめ ★★★★★

 

鑑賞後、、どう自分の心の置き場を持っていっていいのかわからず、、とりあえず、映画館の隣にあるカフェに入った。。鼓動が止まらない。。すごかった。。傷つけ合う家族たち。。わたし、、受け止められない。。途中で、、苦しくて、、手が震えた。。直視できない。。苦しすぎて、、涙も出ない。。

人気作家ルイ。。「もうすぐ死ぬ」その事を家族に伝えるために、、12年ぶりに帰郷。。
愛する息子のために料理を用意する母マルティーヌ。。兄の記憶がないが憧れを抱く妹シュザンヌ。。弟の才能にコンプレックスを抱く兄アントワーヌ。。家族の不安を感じながら和ませようとする兄嫁カトリーヌ。。心の叫びを伝えることのできないルイ。。
ルイに家族の希望として期待をする母。ルイに明るい家庭を見せたい妹。ルイの告白に怯える兄夫婦。。
緊張の糸が切れ全ての想いが溢れた瞬間。。ここからは、瞬きもできないくらい、、目が離せなかった。。家族の距離感は計るのが難しい。。遠くにあると思うと、、いきなり、グンと近づいたり。。

「理解はできない。でも愛してる。この愛だけは奪えない」

パスタ喉通らない。。くるくるくるくるしてたら、、やっと涙が出た。。何かから解放された感じ。。出しとこう。。チョコ買わないといけないし、、帰ったら、、主婦しないとだし。。

 

 

『死にぞこないの青』 乙一

 

死にぞこないの青 (幻冬舎文庫)

死にぞこないの青 (幻冬舎文庫)

 

 おすすめ ★★☆☆☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。ホラー界の俊英が放つ、書き下ろし長編小説。

 

小学5年生になったマサオくん。担任の先生は若い男の先生でサッカーが得意で、生徒からも人気があり、保護者からの評判も高い。
「飼育係になりたい」
そんな気持ちから小さな嘘をしたマサオくん。。先生に嫌われ、事あるごとに叱られるようになり、人としての扱いをされなくなる。そのうち、クラスのみんなの態度が変わっていく。。...
1人の影響力のある人間の悪意が、、集団に浸透していき、、一体感になる。。大きな悪意に飲み込まれる恐怖。。
教室の中における下級階層を知る。。小さな勇気すら、踏み潰される世界。。マサオくんは飼育係ではなくバランス係になってしまった。。クラスのバランスをとる、、生贄。。マサオくんが誰よりも劣っている。。マサオくんは悪い子です。。マサオくんは怒られて当然です。。
いつしかマサオくんの前に時折現れる彼にしか見えない男の子「死にぞこないの青
片耳と頭髪がなく、靴紐の様に縫われる唇。拘束服を着る青い顔をしたアオ。アオが囁く「先生を殺せ」その後の展開は…。

マサオくんの子供らしくない言動、達観した考え方。。子供達のいじめの記憶が抹消されたかのような態度の豹変。。ホラー要素が特にない。。あまり頭に入らなかった物語。。作者があとがきで「書いてしまった。すきなようにやってしまった」と言っていました。
この後に『暗いところで待ち合わせ』と『GOTH』に続くんだと思ったら、、これはこれでいいかも。。