みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『神様のカルテ2』 夏川 草介

 

神様のカルテ2 (小学館文庫)

神様のカルテ2 (小学館文庫)

  • 作者:夏川 草介
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/01/04
  • メディア: 文庫
 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

医師の話ではない。人間の話をしているのだ。新年度、本庄病院の内科病棟に新任の医師・進藤辰也が東京の病院から着任してきた。彼は一止、そして外科の砂山次郎と信濃大学の同窓であった。かつて“医学部の良心”と呼ばれた進藤の加入を喜ぶ一止に対し、砂山は微妙な反応をする。赴任直後の期待とは裏腹に、進藤の医師としての行動は、かつてのその姿からは想像もできないものだった。 そんななか、本庄病院に激震が走る。

【感想】

信州の景色も移り変わり、冬から春に変わりゆく。雪の美ヶ原の山頂から見る神々しい御嶽山。紅梅の華麗な紅。白い花びらが吹き上げる花水木など幻想的な信州の情景、栗原先生の目に映る細君の輝き、当直時の救急患者に追われる「引きの栗原」の奮闘ぶりに変わりなくに心和む。しかし、前巻と違い、今作は心地よいばかりではない(前巻参照→『神様のカルテ』夏川 草介 - みみの無趣味な故に・・・)...とても厳しい医療現場の現実を投げかけてる。

医者とその家族。。医者の責任、使命は重い。患者は全力で向き合ってほしい。一瞬の緩みで取り返しのつかない事もある....強いられる激務と重責、拘束される勤務時間。放置される家族。医師である前に人間である事を強く訴えるタツ(進藤医師)と栗原先生に不穏な空気が流れる。否定すべきことではなく、素直に肯定されるものではない難しい問題。。それでも多忙な日々に追われる栗原先生とタツの元に衝撃が。。内科部長・大狸先生と共に闘い続けた副部長・古狐先生に病魔が襲う。

人の生死を通して「家族」を考えさせられた。そして人は希望ばかりではなく、必ず死は訪れる。死の現場が身近な医師たちだって、人間。。医師としてではなく、人として患者の幸せのために愛溢れる労力を使う医師たちに今回も心打たれるばかり。。大切な人との思い出は何よりもかけがえのないものなんだとしみじみ。。