みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『暗黒の羊』 美輪 和音

 

暗黒の羊 強欲な羊 (創元推理文庫)

暗黒の羊 強欲な羊 (創元推理文庫)

  • 作者:美輪 和音
  • 発売日: 2020/05/09
  • メディア: Kindle版
 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

事故や通り魔などの過激な動画投稿がやめられなくなり暴走していく女。仲間外れになることを恐れ、同級生の死を願う女子高校生。マンションの隣人に執着し、混迷を深める女…。腹黒い女たちの運命が交錯し、絡み合う。その影に蠢くのは、“羊目の女”なのか―。かつて美人姉妹が殺し合ったという、いわくつきの洋館から生まれる恐怖の連鎖は続く。悪意と企みに満ちた連作集。

【感想】

かつて殺し合った美人姉妹が住んでいた洋館。羊のような目をした女が何人もの男の足を切断し地下牢に監禁していた。羊目の女に殺して欲しい相手の名を3回唱えると一週間以内に足を切断され、殺される。。前作『強欲な羊』(→『強欲な羊』 美輪 和音 - みみの無趣味な故に・・・参照)から七年後...またも都市伝説を信じ、廃墟と化した洋館に訪れる人たちの暗黒の世界。

 

「炎上する羊」

料理上手で優しく、おっとりとした愛らしい妻が事故現場を目撃。偶然撮影していた事故現場の動画をSNSに投稿し、思わぬ反響に...過激な動画を上げていく妻は徐々に暴走化していく...。(SNSの承認欲求...命を失う人もいるらしいね。。ほどほどに楽しみましょう。)

「暗黒の羊」

ダンス部の部長が拉致されたが、無事保護。この事件を引き金に、女子達の間で不穏な動きが...。(都市伝説に踊られされるお年頃。少女特有の悪意にはイヤ〜な気分にさせられるわ。)

「病んだ羊、あるいは狡猾な羊」

マンションの隣人・灰原詩織がある日忽然と姿を消した。詩織が「あの人は夫ではない。全然知らない男だ」と助けを求められた私は、隣人夫婦を調べ始める...。(複雑狂気...妄想性人物誤認症候群...身近な人が偽物に入れ替わってると思い込む精神疾患...あるいは誰かが知らない人物に変装していると確信する精神疾患。。思い込みが真実という恐怖。)

「不寛容な羊」

雪山で遭難した男がたどり着いた家。老人と女性3人と女の子1人が住んでいる。男は過去の監禁王子の父と被害者たちと確信する。(前回の『強欲な羊』の「ストックホルム症候群」のその後です。女性達が更に逞しくなってる笑)

「因果な羊」

不動産業に勤める果歩子。いわくつきの洋館の担当になり、高校時代の演劇部の先輩・真行寺を連れ、十七年ぶりに再訪した。あの頃、二人で唱えた人物の死。すべては因果で繋がっている...。(全ての物語も繋がっています)

 

憎しみ、怨み、怒り、妬み、僻み、怖れ、嫌悪、執着、敵意、不信、絶望....負の感情が渦巻く館。。怖い(><)。。なるべく穏便に生きましょう。