みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『嫌な女』  桂 望実

 

嫌な女 (光文社文庫)

嫌な女 (光文社文庫)

 

 おすすめ ★☆☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

初対面の相手でも、たちまちするりとその懐に入ってしまう。小谷夏子は男をその気にさせる天才だ。彼女との未来を夢見た男は、いつの間にか自らお金を出してしまうのだ。そんな生来の詐欺師を遠縁に持つ弁護士・石田徹子は、夏子がトラブルを起こすたび、解決に引っぱり出されるのだが…。対照的な二人の女性の人生を鮮やかに描き出し、豊かな感動をよぶ傑作長編。

 

夏っちゃん、いいなぁ。

20代から70代の女二人の壮大な?物語。天真爛漫な夏子と夏子のトラブルを解決する弁護士徹子。徹子が年を重ねる毎に淡々と成長しているのに対し、夏っちゃんはいつまでも夏っちゃんのまま。一貫してる。いつの間にか徹子が夏っちゃんを応援している。魅力的な女性なんだろうと想像してしまう。70代にして夏っちゃんの詐欺師テクが少し成長した事に私も嬉しくなった。少し嫌われても気にかけてもらえる存在とはなんて幸せな女なんでしょう。夏子に振り回されている徹子もそれを楽しんでる周囲の人達も夏子から幸せをもらえているように感じる。

 

 

さて、もうひとつ感じた事は。。喪失感のこと。徹子は夫と子供がいない。夏っちゃんはいるけど、こちらは複雑な関係性(離婚して父の元へ行った息子)。一人で生きていく徹子の側にいてくれる世話やき事務員のみゆき。彼女の亡き後の徹子の喪失感。彼女の存在がどれほどのものだったのか、、、失ってから気づく大事な人。失う前に大切にしなければならないと改めて思う。。。の。でもこれがとても簡単な様で難しい事なのね。。。