みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『パプリカ』 筒井 康隆

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。人格の破壊も可能なほど強力な最新型精神治療テクノロジー「DCミニ」をめぐる争奪戦が刻一刻とテンションを増し、現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する!

【感想】

ノーベル賞候補者である千葉敦子と時田浩作は精神医学研究所で他人の夢を映し出すPT機器の開発をし、優秀なサイコセラピストである。さらに千葉敦子は夢探偵「パプリカ」という裏の顔を持つ。他人の夢とシンクロして夢の中に侵入することができる。記録された夢をモニターに映し出し、分析をして、心の病を治す。日本の有力者限定のセラピストなのです。

時田は最新型精神治療テクノロジー「DCミニ」というPT機器より小型化され、高性能な機器を六つも開発する。遠隔機能付きで、より鮮明に映像化される。異床同夢の交信ができる優れモノ?。しかし悪い人が利用すると、精神分裂病者の夢を投射され、自分の夢を操られ、人格を破壊されるとても危険な機器になるのです。その「DCミニ」を全て奪われてしまう。奪い返すために戦う敦子(パプリカ)は現実と夢が交錯し、未体験ゾーンに突入するのです。

現実と夢を行き来していたパプリカは夢と夢を行き来することに。夢の中で探り合い。誰の夢なのか。夢を渡り歩くパプリカ。現実に戻った夢であったり...夢だと思ったら現実だったり...現実世界でも夢が侵入してきたり...?ハチャメチャではあるが最後まで戦うのです。

夢は自分が作り出す勝手きままな妄想であり、支離滅裂であり、恐怖もあり、喜劇もあり、秘密もありで...お互いの勝手な妄想のぶつかり合いをするのだから混沌とした世界になるのも目に浮かぶ。

精神医学、夢分析、睡眠と脳など興味深い話もあります。パプリカは男性の夢?理想の女性なのでしょうね。夢の中で■○▲◇療法とか...男性的な内容なのも筒井さんらしさ?なのでしょうか。読み終わったのが、真夜中の3時頃。現実なのか夢なのか。はたまた誰かの夢なのか。。このまま寝たら覚醒しないのでは...怖い夢を見そうで少しドキドキしました。