おすすめ ★★★★☆
【内容紹介】
若者が恋愛も結婚もしなくなり、国はお見合い制度「アカガミ」を立ち上げた。ミツキはアカガミを通じて恋愛や性を知るのだが……。
【感想】
2000年以降に生まれた若者たちの自殺者数が年々増え、、人口比率は四十代以上の人間が飛躍的に増加していく日本。。原因は若年層の生や性への関心の低下、生きている実感、気力が見出せず、自死を選んでしまう。。
そこで政府は若者の自殺数増加の研究と「アカガミ」という制度を立ち上げた。
志願者は様々な条件と身体、精神の検査をクリアし、恋愛、結婚、まぐわい、家族というものを教習所で学び、訓練が終わると相手が選ばれ、共に暮らし、恋愛をし、相性が合えば「番い」となり、子供を作るシステム。志願者と志願者家族(親兄弟含む)はアカガミの恩恵を受け、生活の保証、妊娠、出産の世話など国に守られていく。。「アカガミ」制度の本当の目的、実態はどういうものなのか不明であるが、想像を掻き立てると、、非現実的ではあるがそれを超えたリアリティさを感じさせ、、悪寒が走る。。
「アカガミ」の規制、マニュアル化、人の尊厳に対しての不信に嫌悪は感じます 。恋情が芽生えず、異性への意識の低さ、将来の生への落胆、潔癖や不安からくる性への拒絶、、恋愛感情の講習の効能は疑問だけど、、出会いの場と捉えるなら、必要性もあるのかな。と漠然に思いました。
子孫を残す本能、機能に対してかなり踏み込んだ話だと思います。。高齢化社会と少子化問題に対しての過保護さに驚きを持ちつつ、ここまでしないと若年層の恋愛や結婚の発展は難しいのかと複雑な思いで読みました。。人権問題、差別化、心の問題など多方面を考慮すると、政治、法律では解決できない問題なんだと思います。
読んでいて、便利になる一方で自分の環境下の不明度、不便さが広がり、底知れぬ不安をもたらしながら、その環境に甘んじる。。そういう気持ちの共感と恐怖はとても感じられました。。