みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『わたしはロランス』

 

 おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

モントリオール在住の国語教師ロランスは恋人のフレッドに「これまでの自分は偽りだった。女になりたい。」と打ち明ける。
序盤のロランスの秘密の告白シーンが美しく魅力的で目を奪われてしまう。。突然恋人に「女になりたい」と言われたフレッドの表情。。懇願するロランスの苦痛。。受け入れられるはずないけど、彼の切実な想いが身体に染み込んでくるんだと思う。。納得いくいかないじゃなく、、どうしようもない。。辛いなぁ。。幸せな時間があり過ぎればなおのこと。。フレッドは理解をし、サポートをすることに決める。。フレッドのギリギリで不安定な心を揺さぶった土曜のランチ。。顔を怪我して朝帰りしたロランスを心配するフレッド。そこにウェイトレスがロランスに不躾な質問攻め。。フレッド、キレる。
「彼氏のカツラを買ってきたことある?」
「どこかで殴られてるんじゃないかと、外出の度に怯えたことある?」
「土足で踏み込まないで。あんたはコーヒーを入れてればいいの!」
号泣した。。このシーンは涙が止まらなかった。。今も思い出すだけで、泣けてくる。。もう一回観たい。。狂おしいくらいの愛を感じる。。
ロランスと母との関係も見逃せない。息子を直視できずにいる母。目を見てと言う息子。「視線は重要?」「当然。空気と同じくらいに」このシーンも好き。和解していく母と息子のとても良い時間。。

愛し合ってる2人に性同一障害という思いもかけない問題からの葛藤と困難。。社会からも突き放されるけど、恋人、家族の関係がより濃厚になり、、「後悔がない」と堂々と言えるロランス。。フレッドが夢中になるのもわかる。。
エンディング。。2人の出会いのシーン。。決してこの2人の愛は偽りではない。。と思える彼らの10年愛物語でした。。

それにしても2時間50分は長かった。。ほんとは文句なく五つ星なんだけど、、長さがおすすめしにくいです。映像と音楽も素晴らしく、飽きる事なく観れたけど、、終わった時の時間に驚き。。夜は観ない方がいい。。ドランくんの映画(ロランスは彼が22歳の時の作品)、、惹きつけ方が強烈❣️