みみの無趣味な故に・・・

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『米原万里の「愛の法則」』米原 万里

 

米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)

米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)

  • 作者:米原 万里
  • 発売日: 2007/08/17
  • メディア: 新書
 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか―“愛の法則”では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また“国際化とグローバリゼーション”では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。四つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。

【感想】

第一章「愛の法則」

「女が本流、男はサンプル」この分析、考察は面白かった。特に男女の生物学的寿命は興味深い。誕生から一生までの第一期(受胎〜誕生)、第二期(誕生〜性的成熟)、第三期(再生産期間、繁殖期間)、第四期(老化〜死)と分けられ、それぞれの期間での男女の寿命は第四期以外は男性の方が寿命が長い。。第四期で女性の寿命が最も長く、男性が極端に短い。。人類の使命を終え、楽しい人生を謳歌する女性たち。。解説を読むと、納得。

第二章「国際化とグローバリゼーションのあいだ」

日本の「国際化」は先端の国際的基準に合わせていくこと。アメリカの「グローバリゼーション(国際化)」は自分たちの基準を世界に合わせようとすること。日本の外国の言語や文化の取り入れ方の危険性など...。苦笑いしてしまう。

第三章「理解と誤解のあいだ」

コミュニケーションの手段である言葉。意思疎通のズレをどう最小限に抑えるか。通訳の仕事で重要な部分は瞬時の記憶力と想像力と創造力なのです。

第四章「通訳と翻訳の違い」

同時通訳ができるようになるには...文学小説を楽しめる語学力があれば通訳になれるそうです。米原さんの他の本で「通訳」と「翻訳」の違いが書かれていましたが、翻訳は残るが通訳は消えもの。翻訳ほど完璧さは要求されず、誤訳が消滅されやすい。仕事時間に限りがあるのも通訳の利点。翻訳者は訳を絞り出すまで仕事が終わらない...通訳の方が楽天家が多いようだ笑。

 

米原万里さんの講演をまとめた一冊です。外国言語について、知識の深さ、ユニークな切り口、鋭い考察..言葉に説得力があり、わかりやすく解説されています。才能のある女性。亡くなられたのがとても残念。