みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『凍りのくじら』  辻村 深月

 

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

 

 おすすめ ★☆☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき―。

 

藤子・F・不二雄が「ぼくにとってのSFはサイエント・フィクションではなく“少し不思議な物語”のSFなのです」という言葉から理帆子は人の個性を「スコシ・ナントカ」とつける遊びを密かにしている。大のドラえもんファンであり、両親が病に侵され一人暮らしをしており、友達、元カレと表面上で付き合っているような達観している少女。そんな彼女の個性は「スコシ・不在」

時折出てくるドラえもんの話に感動してしまう。活字にされるとのび太の人間性とドラえもんの道具の意味がとても深く感じられ、そちらに興味がいってしまう。改めて藤子先生はすごい。

読むのに少し疲れてしまった中盤。あるマンションでの出来事と粘着質な元カレとのやりとりで「少し不思議」な感覚をつかむと一気に謎がわかってしまい、そこから長く退屈に感じてしまった。

だけど最後に彼女に照らされた光が明るい未来を予想されると思ったら、ラストは爽快感に包まれるのは確か。さてさて。。。わたしの個性を考えてみた。「すこし・老ける」今日、誕生日だ。