みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『リバー』 奥田 英朗

 

おすすめ ★★☆☆☆

【内容紹介】

同一犯か?模倣犯か?
群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見!
十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。
かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。
娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。
若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。
十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか───

【感想】

どうしたの?奥田さん!?と言いたくなるほど、残念感が広がります。容疑者の心の内が描かれることはなく、事件解決まで無理やり引き延ばしているかのような展開が続き、新たな容疑者たちが現れてから迷走していく。盛り込みすぎではないか?と不安になります。

犯人らしき人物の無機質な雰囲気は不気味さを感じるし、境遇を調べていくうちに恵まれない家庭環境や孤独など、心の闇の深さを漂わせることで読者の想像は駆り立てられます。ここはさすがだなぁと思いました。刑事と容疑者の攻防戦もジリジリさせられます。容疑者の動機は?真相を知りたい気持ちは高まってきます。しかし!動機は解明されず、真相は闇の中。盛り込みすぎの部分も回収されず...もどかしさに埋め尽くされた気分です。残念です。どうしたの?奥田さん!?って、本に向かって言いたくなります。