おすすめ ★★☆☆☆
【内容紹介】
“多国籍ニッポン”を生き抜く痛快バディ・ストーリー!
フリーの観光ガイド佐抜克郎は、外務省関係者から東南アジアの小国“ベサール”の王子を捜してほしいと依頼を受ける。軍事クーデターをきっかけに王族の一部が日本に逃れていたのだ。佐抜は“あがり症”だが、ベサール語という特技があった。相棒として紹介された元女子プロレスラーのヒナとともに、佐抜は王子の行方を求めて多国籍の外国人が暮らす「アジア団地」に足を踏み入れる。ベサールの民主化を警戒する外国勢力や日和見を決め込む外務省に翻弄されながらも、佐抜は大きな決断の舞台に近づいてゆく――。
【感想】
痛快に駆け抜ける読書をしたくて、手に取ったのですが、、、
外国人観光客をガイドするあがり症の佐抜くんは日本人だと緊張してうまく話せないのだが、外国人には不思議と流暢になるという特徴。。しかしバディの相手がベサール人の元女子プロレスラー、アジア団地に住む多国籍の人種、組織や反政府グループも外国人、もちろん王子はベサール人...なので、あがり症の要素があまり見受けられなくて、面白みも個性もない佐抜くん。あがり症にしなくても良かったのでは?と、疑問。
アジアを中心にした文化、言葉、宗教、習俗も異なる二千人以上の民衆が住むアジア団地は独自の規律を作り、日本ではあるが、もはや日本ではない。日本人が立ち入る事も難しい。屋台や店舗が立ち並び、生きる活気、エネルギーが満ち溢れていて、とても魅力的な場所であると、佐抜くんは大学の恩師・杉本教授にご教示されます...しかしアジア団地の魅力、熱気が伝わらなかった。情景はただ流されていき、文化や食事にも触れず、目的を遂行するだけのまっすぐな佐抜くん。食事は、いつも団地外のファミレス。団地内を全くガイドしてくれないの。
日本語と外国語が入り混じる会話。外国語は句読点なしのカタカナ表記をされているので、読みにくい。「トイレハハシゴヲアガッタサキニアル」...これが、スピード感をかなり落としてると思う。日本の外務省も焦ったい。日本の責任を負わない姿勢、上への判断を仰いでばかりと、お役所らしさはあるのですが、やりとりが長くて、少し飽きてしまう。
酷評ばかりですが、佐抜くんの相棒、元女子プロレスラー・ヒナは良かった。はっきりした性格で裏表がなく、母国に対する真摯な思いを持つ女性。強がりだけど、たまに見せる優しさ。とにかく強いので頼り甲斐がある。杉本教授も好き。ベサールの歴史に詳しい国際政治学者。影の協力者です。趣味は料理。独特な味覚の持ち主で、手料理はかなり個性的。美味しくないらしい。ヒナも変わった味覚の持ち主で教授の手料理は合うのではないか...と佐抜くんは今度食べさせてあげようと、時折思うのです。しかし、食べさせないまま、終わってしまった。数回「食べさせたい」思いが綴られてるのに...なぜ食べさせないの。。ヒナの食レポ...気になる笑。
人物の描写もアジアの雰囲気も薄く、ストーリーの展開も無理矢理引っ張っているだけで、退屈。だらけてしまい、緊張感も感じられなかったです。残念。