みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『三体』 劉 慈欣

 

三体

三体

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おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?

【感想】

物理学、科学の知識、怪現象、宇宙との交信、異星人の世界と、とても壮大で難解で理解をすることは無に等しいのに読むことができるのか...と不安でしたが、気づけば三体の世界に浸っていました。面白い要素が散りばめられているので、思っていたよりも読みやすかったのです。

汪森が挑戦するVRゲーム「三体」...クリア不可能では?という難解さ。3つの太陽が互いに干渉しあう過酷な環境の異星が舞台で、三体人と化したプレイヤーは太陽周期の不安定な乱紀を凌ぎ、周期が安定する恒紀で文明の発展に力を注ぎ、より長く恒期を続けさせるという体感ゲーム。乱紀が訪れる時、3つの太陽が現れ、脱水してしまう三体人。脱水に対応する機能がある三体人は仮死状態で恒紀になるのをただ待つ。頭脳と根気が必要なゲームなのです。汪森は何度も挑み、何度も失敗し、少しずつ進歩し、三体問題の謎に迫っていく。 ここまでも想像以上でしたが、ゲームクリア後の展開は想像を遥かに超えていきます。異星人の存在、思惑を知る科学者たち。人類の文明に絶望をしてしまう人々もいれば、異星人の力を借りて人類滅亡を望む人々(降臨派)、高度な異星文明に羨望を持ち、神と崇拝していく者たち(救済派)、数百年後の異星人の侵略から子孫を守ろうとする人々(生存派)と、地球三体運動が起こるのです。三体問題とは三つの物体が互いの引力がどのような運動をもたらすのか..という力学の問題なんですね。物理学はわからないけど、信念を持つ人々の引力がどういう結末をもたらすのか?...次巻が気になります。意外に楽しめたので、この勢いで次も読みたいけど図書館からはまだまだ回ってこなさそう。内容が朧げになりそう。。気長に待ちます。