みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画、絵画鑑賞の感想を書いてます。

『自転しながら公転する』 山本 文緒

 

自転しながら公転する

自転しながら公転する

  • 作者:山本文緒
  • 発売日: 2020/09/28
  • メディア: Kindle版
 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。

【感想】

舞台が茨城県牛久市。巨大な牛久大仏がそびえる街。。先日初めて見たばかりで、あの時の衝撃が脳裏に過ぎる。どこからでも見える大仏様は違和感もなく、ただの風景になるらしい。。

それはさておき、物語の主人公・与野都(32歳)は東京のアパレル販売員として働いていたが、母親の介護の為、実家の茨城に戻る。契約社員としてアウトレットで働くショップ店員。同じアウトレット内にある回転寿司の店員と恋をし、仕事、恋愛、介護に追われ、将来への不安、幸せを追い求め、思考がぐるぐる周り巡り、自転しながら公転していくのです。

30代女性の人生の悩み。。契約社員のままでいいのか?今の恋人との見えない将来...結婚...育児...親の介護...悩みは尽きない。。20代と違って、一人で抱えていかなければいけない責任の重みがついてくる。。周囲の変化や友達の鋭い指摘が都の心を揺さぶり、友達の幸せと比較し足掻いていく。
「何かに拘れば拘るほど、人は心が狭くなっていく。幸せに拘れば拘るほど、人は寛容さを失っていく。」
自分の不運や不幸に焦り、恋人と衝突してしまい、空回りを繰り返す。。決して都は不運でも不幸でもない。。親も恋人も友達も職場の仲間もかけがえのない存在なのだが、自分を大切に思えば思うほど疎ましい存在となっていく。身勝手な思考が目立つけど、生き方に自信が持てず、足りない幸せを補おうと自分を追い込んでいく都のような苦悩(呪縛?)にもがくことは、、女性の誰もが経験するのではないでしょうか。。そして都の母も更年期障害で苦しみ、介護をされる事に後ろめたさを感じながら、家族と向き合っていきます。人生を人に委ねてきた母が大きな一歩を踏み出します。その決断には感銘を受けました。

一生懸命に必死に真面目に生きる女性であるが、成長の限界を教えてくれた気がします。成長の限界を超えるには、他者との関わりが必要であり、人間関係により新たな道に進み成長していく。。一つの環境に留まっていると、成長の限界がある。。人生は自分で決めるけど、他者から教えられることが多いと思う。