みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『検事の死命』 柚月 裕子

 

検事の死命 「佐方貞人」シリーズ (角川文庫)

検事の死命 「佐方貞人」シリーズ (角川文庫)

  • 作者:柚月裕子
  • 発売日: 2018/08/24
  • メディア: Kindle版
 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

電車内で女子高生に痴漢を働いたとして会社員の武本が現行犯逮捕された。武本は容疑を否認し、金を払えば示談にすると少女から脅されたと主張。さらに武本は県内有数の資産家一族の婿だった。担当を任された検事・佐方貞人に対し、上司や国会議員から不起訴にするよう圧力がかかるが、佐方は覚悟を決めて起訴に踏み切る。権力に挑む佐方に勝算はあるのか(「死命を賭ける」)。正義感あふれる男の執念を描いた、傑作ミステリー。

 

【感想】

佐方貞人の検事時代の連作短編集。短編とはいえ一話一話の内容が重厚で熱く込み上げてくるものがある。。本作がシリーズで一番好き。

 

「心を掬う」

米崎中央郵便局で相次ぐ郵便物不着が起きている事が気になる佐方貞人は内偵をしている郵政監察官・福村正行と共に郵便物紛失事件を捜査する。

(なぜ佐方貞人がこだわるのか?その理由が...故郷への想いに繋がる。それにしても大変な捜査です。。あの中に入るって、なかなか勇気がいるわ)

 

「業をおろす」父・佐方陽世の十三回忌の為に帰郷した佐方貞人。父の親友でもある住職・英心になぜ弁護士の父は実刑を受け入れたのか?と長年の疑問を話す。誤解されたまま、実刑を受け獄中死をした陽世の人生。。その真実は...法要で明らかに。

(『検事の本懐』の五話「本懐を知る」(『検事の本懐』 柚月 裕子 - みみの無趣味な故に・・・)の完結編ですね。弁護士の職業倫理と正義の狭間。。号泣です)

 

「死命を賭ける刑事部編」(内容紹介参照)

「死命を賭ける公判部編」県下最大の法律事務所代表弁護士・井原智之との法廷劇

(痛快です。事件そのものは「迷惑防止条例違反」と、小さな扱いをされてしまうが、罪は罪。圧力に屈せず、死命を賭けて闘う佐方貞人を陰で支える人々たちも熱い‼︎秋霜烈日のバッジの重み。。カッコいい)

 

次は最新作『検事の信義』まだまだ楽しい。