みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『儚い羊たちの祝宴』 米澤 穂信

 

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

【感想】

「身内に不幸がありまして」
丹山家のお嬢様のお世話役・村里夕日の手記から物語が綴られる。ある日丹山家で、惨劇が。翌年も翌々年も同日に丹山家の親族が次々と殺害される。お嬢様をお守りしたい夕日は...。(殺害理由...呆然ゾワリ)

 

「北の館の罪人」
母が亡くなる前に「六綱家に行きなさい」と言われ、六綱家の屋敷に訪れた内名あまり。北の館にいる人物の世話をするようにと命じられる。その人物は...。(歪みの上塗り...血縁ゾワリ)

 

「山荘秘聞」
家政婦としての腕を見込まれた屋島さんは、辰野嘉門の別荘管理を任される。。雄大な屋敷を完璧に管理するが、、一年経っても誰も泊まりに来ない。。そこに...。(完璧の失態...来客者ゾワリ)

 

「玉野五十鈴の誉れ」
小栗家の王として振る舞う祖母に厳しく育てられる純香。15の誕生日に贈られた使用人・玉野五十鈴。同年代の友達との交際を禁じられた純香にとって、同い年の五十鈴はかけがえのない存在となる。命令に従順な玉野五十鈴の誉れは...。(使用人の鑑?...後味ゾワリ)

 

「儚い羊たちの晩餐」
ある一冊の日記の最初の頁に書かれていたのは「バベルの会はこうして消滅した」
バベルの会を除名された毬絵。成金の父が雇う新しい料理人・夏。珍しい食材を調理する凄腕の料理人。毬絵が命じた入手困難な食材のお料理は...。(お嬢様のお戯れ...最恐ゾワリ)

 

五つの物語に登場する「バベルの会」教養と品格のある優雅な会員制読書会。。覗いてみたいなぁ。。その存在が明らかになるのはラストのお話。。覗きたい気持ちが一気に打ち消される。。いずれもお屋敷に住む上流階級の人たちと従順な使用人たちの狂気、歪みがひたひたと胸に迫ってきて、ラストに冷たい恐怖が広がります。。お話は真っ黒で後味はあまり良くありません。。作中に出てくる本を読んだ人はもっと楽しめそうです。。いや、楽しんでいいのかな?
初めての米澤さん。。他の作品も気になります。