みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『正しい女たち』 千早 茜

 

正しい女たち

正しい女たち

 

おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

容姿、セックス、離婚、老い…。みんな本当は興味津々なのに、はっきりとは言葉にしないもの。女性の隠し事の正しい姿を描いた物語。

 

 

【感想】

「温室の友情」隠し事がない、分かり合える女の友情。。その友情を壊さないために壊すもの。。大きな隠し事。。苦味あり。

 

「海辺の先生」スナックを営む母と高校生の娘。母の仕事に嫌悪しながら、自分の環境に諦め気味。「先生」と呼ばれる男との出会いが母娘に変化をもたらす。。女子学生への正しさを教えてくれた「先生」。。一番爽やか。

 

「偽物のセックス」同じマンションの508号室の女性(人妻)が気になる男(既婚者)。。「正しいセックス」をはっきり物申す508号室の女性は清々しさを感じる。。夫婦として正しい。。妖しげな魅力を放つ女性の描き方が上手。

 

「幸福な離婚」四ヶ月半後に離婚する夫婦の話。。この話が一番良かったなぁ。喧嘩が絶えなくなった2人が決断した離婚。。期間限定の夫婦生活。。相手の言葉、仕草、気持ちを大切に思いやれる2人の関係性がとてもいい。。終わりがあるって切ないけど、空気感がとても温かい気がする。。

 

「桃のプライド」女優としての仕事が破綻してしまってる女性の必死さが物悲しく、痛々しい。

 

「描かれた若さ」一番強烈。。とても酷い男性なので、ラストは爽快でした。女性の若さばかりを求める男性って、、いますね。お互い老いるのだよ。。

 

「正しい」ってどんな事が正しいのかわからないけど、、信念を貫く事が自分の「正しさ」になるのかなぁ。歪んでる話もあるけど、その人にとったら「正しい」と信じてる事。それが幸せかと言ったら、そうでもなさそう。。そんなお話でした。