おすすめ ★★★★★
【内容紹介】
あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。
息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。
しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、
ひどく不都合なものだった。
「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、
そりゃ気持ちいいよな」
これは共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?
【感想】
朝井リョウさんの作品は、『少女は卒業しない』を読んだことがあります。『桐島、部活やめるってよ』の映画は観ました。1冊しか読んでいないのですが、多感な年代の人間関係や少女たちの微妙な感情を繊細に描き、言葉のセンスが上手だなぁという印象が残ってます。この作品は表紙とタイトル、評価がとても気になり、手に取ってみました。軽い気持ちで...。
感想...悩むなぁ。言いたいことあるかなぁ。いっぱいあるんだろうなぁ。いや、あるんだよ。熱量は高めだけど、言葉に表すことが全て陳腐な気がして、何を言っても、常識が覆されていくようで...。マイノリティ(もっと深い...狭い..マイノリティ)に目を向けながら、マジョリティの本質を突きつけさせられる。深く追及したくなる言葉の数々を振り返るけど、思考が先に進まない。
「この地球に留学しているみたい」という想像に及ばない気持ち...。常識、普通、正しさ...これって、一体何?って頭に巡り、着地点が定まらない。安穏な場所を求めてしまう事に疑問を持つことなんてなかったと思う。覚悟なく読んだのだけど、覚悟がいるのかもしれない。そういう意味では問題作なのか...な。