みみの無趣味な故に・・・

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『子育てはもう卒業します』 垣谷 美雨

 

子育てはもう卒業します (祥伝社文庫)

子育てはもう卒業します (祥伝社文庫)

  • 作者:垣谷 美雨
  • 発売日: 2016/07/13
  • メディア: 文庫
 

 おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

息子を憧れの学校に入れるため必死なお受験ママの淳子、堅実な職業に就いてと娘の就活に口を出す明美、勘当同然で押し切った結婚を後悔する紫。十代で出会った三人は故郷を離れてから数十年、様々な悩みを語り合ってきた。就職、結婚、出産、嫁姑問題、子供の進路…。時にふと思う。私の人生、このまま終わるの?誰かのために生きてきた女性の新たな出発を描く物語。

【感想】

教育費のため夫の両親と同居するお受験ママの淳子。娘には堅実な仕事に就いて欲しいと願い、娘の就活に口を出す専業主婦の明美。親の猛反対を押し切りフランス人と結婚、勘当され、後悔するお嬢様育ちの紫。就職、結婚、出産、子育て、嫁姑、親との確執、子供の進路……故郷を離れ、上京し、大学時代を共に過ごした3人。互いに悩みを語り、励ましあい、言えない痛みを抱えながら、誰かのために生きてきた女性の子離れ親離れ物語です。

 

大学の同級生。地方出身者の東京在住。同時期に結婚出産。専業主婦の3人の母親たち。大学時代からの40年間。それぞれの視点で母親として、妻として、娘としてのリアル悩みが描かれています。母親の学生時代(1978年)から結婚(1985年頃)までの時代背景をみると「自宅通勤に限る」という求人募集..地方出身女性の就職困難や、男尊女卑の年功序列、女性の役割、結婚退職など社会における女性に厳しい一面はありますが、安定収入な時代でもある。女性が専業主婦になれた最後の世代と評していました。

 

現在は誰にとっても厳しい世の中。その社会を生きるわが子に力を注ぐ母親の心配もわかりますが、時代変われば社会も変わり、古い考えを押し付けても、子供はなるようにしかならないのでは...と子供の窮屈さに同情してしまう。

3人の関係性がとてもよかった。結婚を機に疎遠になりがちな女の友情が40年、お互いの境遇を羨んだり、認め合ったり、悩みを分かち合える存在、そして、これからも続く友情..「アデュー子育て、ボンジュール老後」と子育てを称えあう母親たちに「子育てお疲れ様でした」と言いたい^^(でも、死ぬまで子育ては続くとも思ってます。)