おすすめ ★★★☆☆
【内容紹介】
両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年一度、集う夏休み。中学生の練は妹・千華子、母とともに、考古学者の父がいる中米のG国までやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。すぐさま四人はクーデターに巻き込まれ、避難中のヘリから兄妹が落下、親子は離ればなれに!?疲労困憊でさまよう二人の身に、異変が…。
【感想】
旅行先で国家を揺るがすクーデターに巻き込まれた元家族。遺跡へ向かうはずのヘリコプターは乗っ取られ、外に放り出されてしまった兄妹。運良く?密林の木々に守られ、怪我はないが、地平線のように広がる雄大な緑。無力さを思い知る自然の脅威。鬱蒼とした暗い森。蠢く気配。「王の息に触れるな」...濃密な闇夜の中、2人の脳内に語りかける謎の言葉。そこ知れぬ恐怖。知恵と勇気を振り絞る命懸けのサバイバル。ジャングルを無事脱出し、両親の元に帰ることができるのか...。不安と絶望の連続を繰り返し、疲労困憊の兄妹の前に現れた一人の少年。救世主?それとも...。
密林でのサバイバルは緊迫感があり、緊張の連続。子供たちが必死に生き抜く姿にハラハラです。絶望に打ちのめされても、希望の光を見出し前に進む姿にも、力強さを感じられる。。一方..両親は子供の安否確認ができず、無力さに不安、憤り、後悔で神経がすり減っていく..。家族それぞれの気持ちに胸を痛めていましたが...(少しネタバレします)...兄妹はマヤの遺跡に足を踏み込みます。そこからの展開に引き込まれていた気持ちが一気に冷めてしまったのです。遺跡内が現代的でライフラインや物資が充実していて、そこで強制参加させられる儀式など、無理な設定に..迷走してる?と不安感にザワザワしたのです。。もう少し密林の緊迫感に触れていたかった。恩田さん特有の心理戦があまりなくて残念。聡明な美少女が登場して欲しかったなぁとか...壮大なお話なのに、物足りなさを感じるのでした。。練の祖父と従兄弟の邦夫がかっこいい。邦夫の物語が読みたいなぁ。