みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画、絵画鑑賞の感想を書いてます。

『名作文学に見る「家」謎とロマン編』 小幡 陽次郎 横島 誠司

 

おすすめ  ★★★★☆

【内容紹介】

「夢想大工」を自称する読書家と建築家が、日本と世界の傑作から、その舞台となった「家」や「店」などのイメージを読みとって、具体的に間取り図を描きおこしてみせる。空想の翼を広げる喜び、自分の想像していた空間と比べてみる面白さ…名作を二度楽しみたい人のための、楽しい文学ガイド。

 

【感想】

文学と建築。。どちらも興味深い。

ある大学の建築学科は吉本ばななさんの『キッチン』を学生に読ませて、登場するマンションの間取り図を描かせるという課題を出したそうです。面白い。この本は読書好きの建築家・横島誠司さんが文学から架空の建材で仮想の家を建てる幻の住宅集です。文の担当が小幡陽次郎さん。図の担当が横島さん。名作に出てくる家はどんな家なんだろう?

 

最初に作品のあらすじが紹介されます。次に家の情報が書き出され、それを元に作図をします。作図ポイントも書かれ、意外な発見あり。

スティーヴンソン『ジーキル博士とハイド氏』の博士の二面性が現れる不気味な間取り。江戸川乱歩『怪人二十面相』の怪人の地下美術館は豪華。カフカ『変身』のカフカのもがく姿が目に浮かぶ檻のような部屋。オールコット『若草物語』の四姉妹が育った家はあまり裕福ではないが温かみのある柔らかさを感じる家などなど。30棟程の住宅が紹介されています。

住宅描写を忠実に設計していますが、登場人物の暮らし、風土、心情も取り入れた家づくりになっています。間取り図を見ながら、どういう暮らしをしていたのか...ここであんな事件が?と想像すると作品も更に楽しめますね。

読んでみたい名作が増えました。佐藤春夫『西班牙犬の家』は夢見心地になることの好きな人々のための短編だそうです(夢見心地大好き)パールバック『大地』はノーベル文学賞、ピュリッツァー賞の栄誉に輝く本。一族の三世代にわたる盛衰を雄大に描いた作品。モーパッサン『女の一生』薄幸の女性の一生を描きながら、ある家の生涯も綴った(胸が張り裂けそう)山本周五郎『さぶ』(あらすじを読んだだけで泣けてきた)

わたしの住みたいお家は田辺聖子『夜あけのさよなら』の須磨のバラ屋敷。バラ風呂に入って窓から庭が見えて夢見心地になれるようです。(夢見心地大好き笑)