みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画、絵画鑑賞の感想を書いてます。

『新章 神様のカルテ』夏川 草介

 

新章 神様のカルテ

新章 神様のカルテ

  • 作者:夏川 草介
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/01/31
  • メディア: 単行本
 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

信州にある「24時間365日対応」の本庄病院に勤務していた内科医の栗原一止は、より良い医師となるため信濃大学医学部に入局する。消化器内科医として勤務する傍ら、大学院生としての研究も進めなければならない日々も、早二年が過ぎた。矛盾だらけの大学病院という組織にもそれなりに順応しているつもりであったが、29歳の膵癌患者の治療方法をめぐり、局内の実権を掌握している准教授と激しく衝突してしまう。 舞台は、地域医療支援病院から大学病院へ。

 

【感想】

新年、初読みした本にボロボロと初泣きしました。

イチ(栗原一止)がパパになってた。大学病院でそれなりに順応してた。文豪風な話し方は健在。砂原ブレンド(たっぷり粉を入れ、たっぷり砂糖が入ってる砂山次郎外科医が愛飲するインスタントコーヒー)も相変わらず美味しくなさそう。と、年が経ち、舞台が変わるが相変わらず「引きの栗原」は忙しそう。

若くして膵癌を患う患者の「死」をめぐる問題、家族の不安と希望を大きな組織のしがらみに翻弄されながら、患者と真正面から向き合い、ぶつかり合う医師たちの姿にまたも心揺さぶられる想いになりました。

生と死の現場に奇跡は起こらない。医者というのは淡々とひとつの命が尽きる現実を見届ける立場でもあり、自分の信念だけを通す事でもないのだろう。。それでも余命の少ない患者に生きる意味を心に強く念じさせられる医師の本気の診療にはいつも涙します。

「生きることは権利ではない。義務です」

生きる事を諦めかけた時にイチから強いメッセージを受け止め、前進した女性とわたしのお友達が重なりました。10年前に癌を患い、治療する術もなくなり余命を超えてもなお強く生きる女性です。「死ぬ覚悟から生きる覚悟に変えた」と昨年の秋、自然溢れる群馬の森で爽やかに語る彼女が神々しく、美しかった。そうやって話す彼女も多くの事を諦めただろうし、悔しさもあっただろうなぁ。

このシリーズの楽しみでもある信州の素晴らしい景色。素朴な自然なのに、心が洗われる。山あいの景色を眺めるだけで四季の移り変わりを感じられるとはなんて素敵な事なんだろ。(都内ではイベントで気づかされるくらい。急き立てられるくらい早すぎて、季節が混乱するだけ。。どうでもいい話だけど笑)

患者が最期は自宅で家族と過ごしたいという想い。。その想いが強く伝わるシーンに静かに涙した。自宅から見える一面に広がる蕎麦の花の美しさ。小さい頃から眺めてきた風景の中で静かに穏やかに余生を過ごしたい。その想いと、、実際に見ているわけではないのに目の前に広がる美しい風景に涙するのは歳を取ったからかなぁ。。笑。だとしたら、歳を重ねるのも悪いことでもないんだと思う新年でした。