みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『異性』 角田 光代 穂村 弘

 

異性 (河出文庫)

異性 (河出文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

好きだから許せる? 好きだけど許せない? 男と女は互いにひかれあいながら、どうしてわかりあえないのか。カクちゃん&ほむほむが、男と女についてとことん考えた、恋愛考察エッセイ。

【感想】

角田作品は数年に一回お会いします。

読んだ本は異性よりも同性との微妙な関係性が描かれてる作品が多い気がします。

穂村弘さんは残念ながら、初めましてです。

現代短歌を代表する歌人。興味津々。

お互いの自己異性論から恋愛を考察をする往復書簡。どれどれ...。

まず、「好きな気持ち」から「内面か外見か」という章を読む。穂村さんの内面の等式に背筋がヒヤリ。

「仔猫を拾う」=「心が優しい」

「冬でもタンクトップで二の腕に『家族』の刺青をいれている」=「マッチョな男らしさを信奉する家族思い」

「メールアドレスに『foreverlove』が入ってる」=「ロマンチスト」

「外見が美しい」=「?」

と内面は現象と意味の対応関係が単純だが、外見の美の意味が困難という話(わかりやすい例えなのでしょうが「仔猫を拾う」以外は狂気な人にしか思えないのだけど...。foreverloveってゾワっとするわ。狂気な本ばかり読んでるからかなぁ笑。最初からこんな事に引っかかってたら先に進めない。。ちなみに男性の方が外見重視だからこそ、目移りというのが発生しやすのではないかと思ってる)

 

角田さんが「女性は変化をおそれ、男性は固定をおそれている」と仰ってますが大いに疑問。穂村さんの仰る「配偶者の死後」も妻の方が精神面は強い。となると女性の方が変化を恐れないのでは?確かに。(男性の方が変化に弱いと思う。女性の人生は選択肢が多く、変化への対応力が自然と身についてる気がするので強そう)

 

「恋愛カースト」穂村さんの人間レベル2的な自虐性発揮(『百瀬、こっちを向いて。』 中田 永一 - みみの無趣味な故に・・・参照)(自虐ならお任せなくらいわたしも自虐的です。穂村さんの学生時代の思い出話がちょいちょい面白い。カーストの自分の立ち位置って、自分が決めるのかなぁ。誰もが上層部とは思ってない気がする)

 

「別れた人」への角田さんの心情が...不可解。「不幸であってほしい」(怖い笑)穂村さんの「別れてもまだ自分の女」と男の資産目録に載る(これもちと怖い笑)

などなど異性対談はこのように繰り広げられていく。

 

と、全てを読み終えた感想は...

男女は噛み合わない。永遠に。

この噛み合わなさが人生に色々と作用していく。男の言葉を女が勝手に奥深く解釈して、とんでもない誤解が恋に発展したり、男は女の言葉を特に奥深く考えず、真に受けて恋に暴走したり...時には事件になったり...修羅場になったり...恋愛って大変...だから物語が生まれる(←おかげで読書が潤う!)

穂村さんがとにかく面白かった。異性を冷静に鋭く分析し、角田さんの言葉を吸収し、男性の思考、言動の真意をわかりやすく説明してる。そのおかげで、夫の言動の理解を深められそうです笑。。角田さんには驚きの連発でした。しっかりとした恋愛論。夢と希望と同じくらい現実が溢れてる。じっ...自意識高めだなぁ。とも思った(*ノ∀`*)ゞエヘヘ