みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『スイートリトルライズ』 江國 香織

 

スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)

スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

この日常に不満はない、と瑠璃子は思う。淋しさは人間の抱える根元的なもので、自分一人で対処するべきで、誰かに―たとえ夫でも、救ってもらえる類のものではない。瑠璃子と二歳下の夫、総。一緒に眠って、一緒に起きる。どこかにでかけてもまた一緒に帰る家。そこには、甘く小さな嘘がある。夫(妻)だけを愛せたらいいのに―。恋愛長編。

【感想】

とても仲の良い夫婦だが、愛(恋)がない。セックスもない。ただ飢餓がある。居心地の良い愛人もいる。。愛人に本気で恋をしながら、夫婦はお互い必要とし、頼り頼られ、負の要素で固く結びついている。。夫婦は嘘をつく。。愛人には嘘はつかない。

 

「人は守りたいものに嘘をつく。あるいは守ろうとするものに」

 

二人に漂う微妙な空気感、安堵感、緊張感、、淋しさ...。恋する事で均衡を保つ夫婦。。恋する気持ちは夫婦間では持てないと思う。夫婦にとって幸福感が滲み渡る愛人との逢瀬は現実離れした特別な空間なんだろう。。家というのは欠かすことのないとても現実的で大切な空間であり、夫に守られる妻と妻を必要とする夫。二人の愛の巣を守るためにお互いが嘘をつく。これも愛の成り立ちなんだろう。。こんな愛の形は続くのだろうか?と疑問はある。。それと夫の嘘はバレているだろう。。妻は見抜くよ。鋭く。見て見ぬふりをされているうちが幸せだと思った方がいい。。