みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『ママがやった』井上荒野

 

ママがやった (文春文庫)

ママがやった (文春文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

「まさか本当に死ぬとは思わなかったの。びっくりしたわ」79歳の母が72歳の父を殺した、との連絡に姉弟3人が駆け付けた。母手製の筍ご飯を食べながら、身勝手で女性が絶えなかった父の、死体処理の相談を始める―男女とは、家族とは何か。ある家族の半世紀を視点人物を替えて描いた、愛を巡る8つの物語。

 

【感想】
79歳のママが72歳のパパを殺したから物語が始まり、長女の恋愛、パパの目移り、次女の娘の結婚、ママとパパの出会い、長男の淡い恋、愛人の恐怖のドライブ(これ、怖い)などそれぞれの視点で家族の風景が語られる連作短編集〈時系列順不同〉

定職に就かず女性に趣味に目移りばかりのだらしなくどうしようもないパパ(めちゃモテ男)の言動や存在にどこか救われている家族たち。。パパをとっても愛するママを愛してる子供たち。。ママの居酒屋のカウンターで愛人と飲んでるパパという泥沼化しそうな危うい状況でも家族にとっては日常風景。危険因子が母子の団結力を固くしているようだ。。とてもおかしな家族ではあるが、、なんとなく、、わかる笑。。40過ぎであろう子供たち(特に息子)が「ママ」「パパ」と親を呼ぶのも、、未熟性を表現してるのかなぁ(我が家のようで、苦笑い)。。殺したくなるほどの夫への愛。。パパが殺されても日常の一部のような家族。。なんだかとっても不思議で、とっても怖いお話でした。