みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』 河野 裕

 

汚れた赤を恋と呼ぶんだ (新潮文庫nex)

汚れた赤を恋と呼ぶんだ (新潮文庫nex)

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

これは僕の失恋であり、同時に、初恋の物語だ。七草は引き算の魔女を知っていますか――。夏休みの終わり、真辺由宇と運命的な再会を果たした僕は、彼女からのメールをきっかけに、魔女の噂を追い始める。高校生と、魔女? ありえない組み合わせは、しかし確かな実感を伴って、僕と真辺の関係を侵食していく。一方、その渦中に現れた謎の少女・安達。現実世界における事件の真相が、いま明かされる。心を穿つ青春ミステリ、第3弾。 

 

【感想】

地図に載っていない「階段島」という奇妙な島に暮らす自分に捨てられた人々の物語。階段島シリーズ第三弾。捨てた側の人たちの現実世界のお話でした。

主人公の男子高性・七草。「人格の一部を消し去ってもらえる」引き算の魔女の噂が流れる世の中で既に人格の一部を消した七草から物語は始まる(時は第一弾『いなくなれ、群青』の頃と同時進行かも。。さらりと同時進行読み)シリーズ当初から七草くんは「悲観主義」を捨てたのかと思ったら、もう一人の主人公・女子高生「真辺由宇への信仰」を捨てたらしい。。それなのに、真辺由宇が魔女に人格を捨てたことを聞きつけ、魔女を探し始める。真辺の捨てたものを見つけ出したいらしい。。「信仰」を捨てたんじゃないの?気になるのはなぜ??と疑問が浮かぶ。。新キャラ女子高生・安達も別目的で魔女を探す。。キーとなるのが、階段島唯一の小学生・相原大地(彼がなぜ自分の人格を捨てなければならなかったのか?シリーズ当初からの謎。階段島にいる真辺は大地を元の世界に戻すことに全力を注いでる)


1巻で捨てられた七草と捨てた七草が対話するシーンが今回に繋がってる。。リンクしてるので...同時読みが面白い。。会話はそのままだけど1巻は捨てられた七草の気持ち。今回は捨てた七草の気持ち。。この対比がうじうじしながら認め合ってるような、貶しあってるような。。(自分との対話って不機嫌になりそう笑)。。2人の共通の思いはまたしても真辺由宇。

大地を巡る事件が魔女の謎に更に近づき、、謎の少女・安達が今後、階段島でどう関わってくるのか?と気になる展開になりそうです。。次巻に続く。。

 

3巻を読み終わり、、いつも同じ感想なのですが...真辺由宇(理想主義者)が好きになれない。。ここが苦労する点です。

目標というのは現実の一部。。理想は現実の対義語。。しかし真辺は理想を目標にする女子。その為に手段は選ばず、まっすぐ女子。。力が入ってて、見てると苦しい。。

 

階段島シリーズの感想はコチラ↓

『いなくなれ、群青』 河野 裕 - みみの無趣味な故に・・・

『その白さえ嘘だとしても』 河野 裕 - みみの無趣味な故に・・・