みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『あの子は貴族』 山内 マリコ

 

あのこは貴族 (集英社文庫)

あのこは貴族 (集英社文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

地方生まれの美紀と東京生まれの華子。
アラサー女子たちの葛藤と成長を描く、山内マリコの傑作長編!

「苦労してないって、人としてダメですよね」――東京生まれの箱入り娘、華子。
「自分は、彼らの世界からあまりにも遠い、辺鄙な場所に生まれ、ただわけもわからず上京してきた、愚かでなにも持たない、まったくの部外者なのだ」――地方生まれ東京在住OL、美紀。

【感想】

上流階級の温室育ち、世間知らずのお嬢様である華子がとにかく可愛い。。そして危なげ。。貴族女子(祖母も母も華子も)のリアル感満載で面白い。。華子の恵まれた環境が視野を狭め華子を大いに苦しませる。。結婚に焦り、お見合いを重ね、理想の男性と出会う。育ちは違くても華子のような焦りや悩みは誰もが陥りそう。。特に結婚生活の夢と現実による閉塞感は居たたまれなくなる。。

一方、地方生まれの上京組の美紀は猛勉強の末に東京の大学に入るも、親の経済不振で中退。夜のラウンジで働くと高校時代の同級生と再会。。ダラダラと関係を続けていく。。東京の上陸階級に直面する美紀の心の内が上手に描かれている。。上流階級の「普通」には驚かされる笑。。とにかく美紀の生き方がかっこいい。

境遇の違う二人が巡り会うきっかけ...上流階級の男。泥沼化するだろうと思われるが、、何とも潔い。。女友達というのは強固だと思われた幻想の絆があっさりと破綻し、自己暗示による脅威的存在になる...かもしれないが、やっぱり強烈に頼もしい味方だと実感。。男性社会、、成長しなさ過ぎ。。女性に甘え過ぎ。。( ̄▽ ̄*) ・・・ァハハ

同じ真理子さんの『東京』 林 真理子 - みみの無趣味な故に・・・にも上京した女性から見た幻想的な東京が映し出されてた。。
東京生まれ東京育ちのわたしは東京暮らしは優越感も特になく不思議な街で混沌としてるなぁって物珍しく思う時もあり...面白さもある。ホテルのアフタヌーンティーを楽しんだら、嬉々として写真を撮っているだろうなぁと確信してる。。優雅さなし?笑

自分の人生は自分で切り拓く。。清々しい女性たちのお話でした。。様々な立場の女性の心情に共感度が高まり、女性は面白いと思う。。