みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画の感想を書いてます。

『花埋み』 渡辺 淳一

 

花埋み (新潮文庫)

花埋み (新潮文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

学問好きの娘は家門の恥という風潮の根強かった明治初期、遠くけわしい医学の道を志す一人の女性がいた―日本最初の女医、荻野吟子。夫からうつされた業病を異性に診察される屈辱に耐えかねた彼女は、同じ苦しみにあえぐ女性を救うべく、さまざまの偏見と障害を乗りこえて医師の資格を得、社会運動にも参画した。血と汗にまみれ、必死に生きるその波瀾の生涯を克明に追う長編。

【感想】

幕末から明治。男尊女卑の時代。。19歳の若さで夫の浮気でうつされた病気(当時は不治の病)。妻の立場の方が悪く、都合の良い理由をつけられ離縁。女が学問?家の恥です!と読書すら許されない。この頃の女性の名前は「せい」や「やい」、荻野吟子の本名は「ぎん」など仕事を言いつける時に呼びやすく、便利な符号に過ぎなかったなど。。モラハラ、セクハラ、パワハラ、、あらゆるハラスメントが横行している。。吟子は男に辱めをあったことへの復讐心に燃え、男子学生しかいない医学部で様々ないじめに遭いながら(いじめが小学生並みで馬鹿らしいけど、女性としては想像を絶する辛さ)意志の強さ、信念で首席で卒業。しかし当時は女性が医師の試験を受ける資格がないという性差別の壁があり、医師になれない。。吟子は諦めず、女医の必要性を力強く訴え、人脈を駆使して、34歳でようやく産婦人科医となり、女性活動家として、女医の道を拓いていく。。と、試練に立ち向かう吟子の苦労と努力には脱帽する。

晩年は13歳年下の夫の夢(夢を追いすぎる無謀な夫)を支えるために、医師の道から女性として生きていくのがとても残念。。医学の進歩に取り残され、医者として機能しなくなってしまった悲しみを思うと悔やまれる。でも男性への復讐心が氷解し、柔らかな愛を知ったのなら、幸せだったんだと、、思いたい。