みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『土漠の花』月村了衛

 

土漠の花 (幻冬舎文庫)

土漠の花 (幻冬舎文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

ソマリアの国境付近で活動する陸上自衛隊第一空挺団の精鋭達。そこに命を狙われている女性が駆け込んだ時、自衛官達の命を賭けた戦闘が始まった。一人の女性を守ることは自分達の誇りを取り戻すことでもあった。極限状況での男達の確執と友情。次々と試練が降りかかる中、生きて帰ることはできるか? 

 

【感想】

残酷な場面が多いので、苦手な人にはおすすめできません。わたしも辛かった。。でも最後まで、止まりませんでした。

 

序盤から辛すぎます。。次々と殺されていく仲間、村の襲撃、虐殺、追撃、銃撃戦、追撃で、、息つく暇もない過酷な展開に。。中盤からは戦争を経験したことのない自衛官たちの恐怖、葛藤やそれぞれの人物背景が描かれ、確執、嫉妬など心理描写が浮かんでくる。。やっと人物の把握がしやすくなりました。。冷酷非情と思われた新開曹長遊牧民の子供たちと交流するシーンは緊張感が解け、心が休まる。。まさにオアシス。。それもほんのひととき。。冷静だった新開曹長が心の緩みでしてはならないミス...。(日の丸の徽章を子供の腕に巻いてしまったミスはいくらなんでも無いなぁと思った。この後の展開に繋げたいとは故、、無理がある)この後は壮絶過ぎて、壮絶過ぎて。。心を抉られる展開に。。ショック大きいなぁ。。うろたえる指揮官・友永曹長に新開さん渾身のエール...「歯を食いしばれ」シーンは号泣。。その後も銃撃戦が続く...。守られているアスキラも戦闘に参加。。意思と精神力の強さがすごい。


もう一つの敵は、アフリカの大自然。。見渡す限りの土漠の果て。。喉の渇き、照りつける太陽、ハムシンと呼ばれる高温の砂嵐が恐怖映画を観てるみたい。。土漠の花を守るために、命がけで闘い抜く自衛官たちの理想と現実には悲しみも残りますが..アフリカの希望を祈らざるを得ない物語でした。。