みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画の感想を書いてます。

『まつらひ』 村山 由佳

 

まつらひ

まつらひ

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

夏祭りが近づくたび、艶夢のなかで激しく乱れる舞桜子。どれだけ過去から逃れても、年の離れた男しか愛せない秋実。夫との夜がなくなって以来、熾火のような欲求を抱え続ける小夜子…。神々を祭らふ夜。男と女は、人の世の裂け目を踏みはずす―恋愛と官能の第一人者が多様な“性”を描き尽くす!六つの禁断の物語。

 

【感想】

祭。。神事。。神々を祭らふ夜。。こんな夜に...。こんな夜だから...?

 

「夜明け前」長野県の農家に嫁いだ舞桜子。愛する夫、可愛い娘、優しい姑と、たまに帰郷する義兄と幸せな暮らしをする。。
(闇が深いよ。夜が明ければいいけど...。)

 

「ANNIVERSARY」夫と息子との生活に幸せと喜びを感じる妻が幼い頃に遊んだ秘密の儀式から思わぬ人生が。。
パラレルワールド。。自分の歩んだ人生を追い求める人生。。なかなか興味深い)

 

「柔らかな迷路」離別した夫婦の再生の話。。
(元夫婦の再生って、ファンタジーに思えちゃう)

 

「水底の華」眩しく光り輝く夫が脳梗塞で倒れ、不自由な体に。。献身に支える妻の行き場のない思い。。
(謙虚な妻の奥底の傲慢さが見え隠れ。。辻村さんの『善良と傲慢』を思い出すなぁ)

 

「約束の神」ピアノ教師の友春が「神」と崇める幼馴染の剣児との永遠の約束。2人で参加した故郷の裸祭「蘇民祭」など思い出を語る。。
(友春の少年期の苦しみも蘇民祭の話で吹っ飛んでしまった。極寒の中の裸祭。髪がバリバリに凍る。苦行の印象が強烈。覚悟のいるお祭りはすごいなぁ)

 

「分かつまで」写真家の秋実とふた回り年上のライター・穂村は福島県の相馬野馬追の取材に訪れる。。
(この話が一番好きです。相馬野馬追祭りの臨場感があって良かった。年配者、若者、子供達の甲冑に身を包んだ騎馬武者たち。侍そのものの凛々しい姿がかっこいい。あらゆる紋様の旗を掲げる武者たちを乗せて歩く馬の姿も美しいだろうなぁ。危険区域に残された馬の突き放された愛情を重ねる秋実の心の内にも胸が打たれる)

 

神々を祭らふ夜は、人を惑わせる何かが漂うのでしょうか?どのお話も日常から非日常の境界線ギリギリを歩いているような、ふっと足を踏み込んでしまいそうな危うい男女のお話でした。