みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『夜また夜の深い夜』 桐野 夏生

 

夜また夜の深い夜 (幻冬舎文庫)

夜また夜の深い夜 (幻冬舎文庫)

 

おすすめ ★★☆☆☆

【内容紹介】

友達に本当の名前を言っちゃだめ。マイコにそう厳命する母は整形を繰り返す秘密主義者。母娘はアジアやヨーロッパの都市を転々とし、四年前からナポリのスラムに住む。国籍もIDもなく、父の名前も自分のルーツもわからないマイコは、難民キャンプ育ちの七海さん宛に、初めて本名を明かして手紙を書き始めた。疾走感溢れる現代サバイバル小説。

 

【感想】

謎めいた母との暮らしは閉ざされた世界。。バイト先のお菓子屋さんと自宅の行き来だったマイコが心惹かれる場所に出会う。。漫画喫茶。。店長のシュンの好意で、お店を手伝いながら、漫画を読み耽る。。「花より男子」「あさきゆめみし」「うる星やつら」「めぞん一刻」「るろうに剣心」「NANA」「スラムダンク」「バガボンド」「MONSTAR」「ぼくの地球を守って」などなど。。世代がわかる漫画選び。。わたしも好きです笑。(後に浦沢直樹PLUTO』が出てくる。。これも大好きです)

漫画喫茶に通い、狭かった世界が日本の漫画を通して徐々に広がり始める。。平和な日本に夢を見、言葉や文化を知り、妄想という楽しさを覚えるマイコ。。

ところが母に漫画喫茶へ通っていることを叱られ、家出をしたマイコ。家出後から急展開。。幼い頃に壮絶な経験をした2人の少女・エリスとアナに出会う。。3人のサバイバル生活が始まる。。

過酷な現実を目の当たりにし、平和と夢だけの漫画の世界に絶望をしていく。。綺麗事では生き抜けないストリートの世界。。

 

内戦で家族を殺されたエリスの言葉が印象的で心に残る。
「人間は他人の経験なんて、正確に理解はできないよ...だから、そのシンプルな事実を受け入れて、後は想像して生きるしかない」

 

3人の友情が危ういながら、微笑ましいからこそ、、犯罪に手を染めていく救いようのない生活が心を痛ませる。。

 

いくつかの気になる謎。。マイコの母親の秘密とは?自分は一体何者?七海とは?3人の少女の行く末は?

後半に明らかにされていくが、、なんというあっけなさ。。わからないことだらけで、頭の中は???ばかり。。???な部分を置き去りにして、、終わってしまった。。残念。。