みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『傲慢と善良』 辻村 深月

 

傲慢と善良

傲慢と善良

 

おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。
その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。
生きていく痛みと苦しさ。その先にあるはずの幸せ──。

 

【感想】

前半部は婚約者を探す架視点、、後半部は婚約者の前から消えた真実視点で、物語は進む。。それぞれの結婚観、婚活生活を振り返り、人の善良さと傲慢さを知り、、自分と向き合い、、自分の傲慢さと心の未熟さをまざまざと知るふたり。

婚活サイトで知り合い、結婚を前提として、恋愛をする男女。。自分の結婚相手と見合う相手かどうかの査定。。「善良さ」と「傲慢さ」が矛盾なく人の中に存在している。。自分に見合う相手...自分につけている値段の高さ。。いい子に(善良に)生きてきた真実の無自覚に抱える傲慢さ。。婚活中の自分のプライドの高さを思い知る架。。結婚の価値観。。苦いというか辛い言葉が突き刺さる。。結婚をしなくてはいけないと思う未婚者たち、既婚者たち、両親の本音と不安が知らず知らずに人を傷つけてる。。真実の母の娘への距離感(娘への支配)と架の女友達の辛辣さ(妬み?人としてありえない)に嫌気を感じ続けるが、、こんな女性たちは普通に存在している事実。。人は繊細に生きながら、鈍感力も必要なんだと思いました。。登場人物たちに好感を持てなかった。。人間不信に陥る言葉や態度の連発。。架も真実も未熟とはいえ、30代の大人。。特に真実の他者に対しての気持ちの汲み取り方や子供じみた考え方にうんざりもする。。こう思うわたしも傲慢なのかもしれない。。

自己否定をしながら自己愛が強い人間。。個人差はあるけど、、誰でもどこかに持ち合わせているのではないかなぁ。。チクチクしました。。