みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『らいほうさんの場所』 東 直子

 

らいほうさんの場所 (講談社文庫)

らいほうさんの場所 (講談社文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

 

【内容紹介】

ネット占い師の長女・志津、市民センター勤めの次女・真奈美、派遣で肉体労働をしている弟・俊。お互いへの不満で軋みがちな三姉弟の関係は、次々と降りかかる災難で、壊れる寸前に――。すべての不運は、庭の一角にある「らいほうさんの場所」が引き寄せたのか? 仄暗い怖さがヒタリと迫るミステリアス長編。

 


長女の志津はネットで人気の占い師「シスリー姉さん」。。弟の世話をする事を生き甲斐とし、家の秩序を徹底的に守る。。次女の真奈美はシズ姉の弟への甘やかしや家の窮屈さに不満を持ち、姉弟に常に冷ややか。。弟の俊は志津の言葉を信じ、肉体労働をするが、うまくいかず...。

庭には志津が大切にしている「らいほうさんの場所」があり、不気味な雰囲気を漂わせ、謎めいた気高い場所。。三姉弟はお互いに不満を持ちつつも同居生活は順調に続けていた。。ある日、志津が以前街角で占いをしていた頃の女性客と再会。。この再会から降りかかる災難と恐怖。。順調だった生活が壊れていく...。


3人が離れられない原因の「らいほうさんの場所」には何があるのか?これが大きな謎としてストーリーにまとわりついてる。。

再会した女性は偶然だったのか?3歳の娘を連れて志津に近寄る母娘。。異常性は確かに感じられる。。志津のおかげで幸せになったと言いながら、子供の虐待も思わせ、不幸が垣間見える。。

家族は一緒にいることで幸せと信じ続ける志津の行く末は?ある意味、ブレない志津の強さは感じる。。そこに大きな恐怖を感じた。。


とても怖いお話。。再会した女性が志津に近づく目的よりも、、らいほうさんの謎よりも、、姉弟が降りかかる災難よりも、、正しいと信じ続ける志津がいちばん怖い。。その志津に導かれていく人々の清々しい決断も怖い。。ネット占いの手軽さ。。占いは可能性の導きだけで、決断はあなた次第という手放し方。。冷ややかな次女の立場が一番恐怖を感じるのではないだろうか?

 

志津がふと浮かぶ言葉のインスピレーションの数々を至る所にメモしていることや、言葉の引き出し方が上手で面白かった。。😌📝

歌人でもあり、作家でもある東さんもメモをたくさんしてるのかもしれない。。