みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『ぬけまいる』 朝井 まかて

 

ぬけまいる (講談社文庫)

ぬけまいる (講談社文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

一膳飯屋の娘・お以乃。御家人の妻・お志花。小間物屋の女主人・お蝶。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、界隈で知らぬ者の無かった江戸娘三人組も早や三十路前。それぞれに事情と鬱屈を抱えた三人は、突如、仕事も家庭も放り出し、お伊勢詣りに繰り出した。てんやわんやの、まかて版東海道中膝栗毛!

 

【感想】

若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、もてはやされた江戸娘三人組。家業を手伝いながら、地に足がつかないお以乃。傾きかけた生家のお店を立て直し、商売に成功したお蝶。浪人の家で育ち、御家人の家に嫁いだ専業主婦のお志花。。幼い頃から仲良し三人娘、三十路前となり、それぞれが鬱屈した今の生活に嫌気をさし、仕事も家庭も放り出し、お伊勢参りに繰り出す。。

着の身着のまま飛び出した三人娘。春から秋にかけての旅の最中は喧嘩はするし、騙されもするし、人の優しさにも触れるし、、恋もする。。この三人の良い所はお互いの踏み込む領域を心がけ、相手の心情を常に思いやり、見守りながら応援をする粋な女性たちであること。。三人娘は性格も境遇も違う。。誰かにどこか共感できるんじゃないかなぁ。。わたしはお志花の妻としての役割と母親としての辛い気持ちに心痛みながら共感をしました。。剣術に長け、強さも兼ね備え、真面目で冷静で二人のお姉さんのような存在。。お志花が家庭を捨ててまで旅に出た人に言えぬ悩みを二人が察して、寄り添う気持ち。。言いたい放題な関係だけど結びつきの強さに、、女友達っていいなぁと思えます。。女性はたくましい。。情もある。。冷たさもある。。弱さもある。。ハメも外したくなる。。てんやわんやな珍道中でもたくさんの得るものをちゃんと掴む、かっこいい女性たちの爽快なお話でした😊📖⤴️