みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『国宝 下 花道篇』 吉田 修一

 

国宝 (下) 花道篇

国宝 (下) 花道篇

 

 

おすすめ ★★★★★

 

【内容紹介】

鳴りやまぬ拍手と眩しいほどの光、人生の境地がここにある。芝居だけに生きてきた男たち。その命を賭してなお、見果てぬ夢を追い求めていく。今年最高の感動を届ける役者一門の大河小説。

 

【感想】

バブル期の時代の華やぐ日本。。芸能界の豪華で豪快な世界に身を置く喜久雄や俊介の苦悩。舞台に命を賭ける役者の漲る熱が文章からも熱く伝わり、、舞台の演目の臨場感が読んでいて観客の心地の様になり、わたしの興奮冷めやらぬまま、、役者たちはすでに次の舞台へ目を向け、突き詰める鬼気迫る稽古の様子や心情が、、観客でいたはずのわたしにも力が入ります。
胸熱くするのは舞台の主役たちだけではなく、、役者を支える人々たち。。母である女将さん、手代、女中、弟子、、妻。。周辺の人たちの支えがあっての役者なんだと、、華やかな舞台の裏で、それぞれの役者にかける心意気に熱い気持ちが込み上げて、涙が何度も溢れます。特に俊介の妻・春江と喜久雄の世話役・徳次が良かった。徳ちゃん、かっこ良すぎ。この二人に支えられてる喜久雄は幸せ者だよ。。一つ一つの舞台に命をかける喜久雄と俊介。。孤高の役者たちが命を削ってまでも魅了される世界。。花道編はずっと涙が止まりませんでした。
時折出てくる歌舞伎の人気演目の内容説明も男女の情念を感じられ、なかなか興味深い。歌舞伎ファンには常識的な演目ばかりでしょう。

 

この本はどうしても読みたくて、自分へのクリスマスプレゼント。。カラーもクリスマスカラーだね🎅。。年末のアレコレを無理矢理終わらせて、一点集中。。没頭しました。。年内に読めてよかった。。まちがいなく今年のベスト1📖🎉。。恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』以来の体感する読書に浸れた。。吉田修一さんの力量がひしひし感じられ、この勢いで来年も盛り上がれそう。。な気分です。。