みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『ホテルローヤル』 桜木 紫乃

 

ホテルローヤル (集英社文庫)

ホテルローヤル (集英社文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆

 

【内容紹介】

北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。

 

【感想】

釧路の湿原を見下ろす高台にあるラブホテル「ホテルローヤル」が舞台となる7つの連作短編集。

 

話は廃墟から始まり、ホテル開業まで、時の流れが遡っていく。。湿っぽさを感じる廃墟の一室から漂う空気を引きずるような男女の繋がり。。虚しさ。。ラストの開業を夢見る欲望のむき出しが更に虚しさを深める。。桜木さんらしい後ろ暗さを感じるが、いつもの北海道の厳しさがあまりなく、淡々としたお話の流れでした。。

 

一番良かったのは「星を見ていた」
ホテル清掃従業員のミコ。10歳年下の夫と二人暮らし。3人の子供とは音信不通。必死に生きてきたミコは人のことを考える余裕がない。。そこに次男から手紙とお金が届く。。小さな喜びから、一転する出来事が。。ミコの見つめる星。。

 

日常にささやかな夢を求めたくて、非日常の世界に逃げ込みたくなるのかもしれない。。