みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『ライオンの冬』 沢木 冬吾

 

ライオンの冬     (角川文庫)

ライオンの冬     (角川文庫)

 

おすすめ ★★★★★

【内容紹介】

伊沢吾郎、82歳。かつて日本陸軍の狙撃手としてフィリピン戦線で戦った男は、軍人恩給をもらいながら、孫娘の結と山奥でひっそり暮らしていた。しかし、ひとりの少年の失踪事件をきっかけに、雪山は緊迫感に包まれる。伊沢の動向を監視する謎の男たち。複雑に絡み合う思惑…。囚われた過去を背負いながら、老兵は愛する人を守るため、再び立ち上がった。。

 

【感想】

おじぃたち。。泣ける。。

2人の「山じじぃ」。。狙撃手の吾郎さんと罠を武器とする猫田虎之介さん。。この2人に可愛がられる孫娘・結のあどけなさ。。序盤の狩り生活や山奥(髭之先と呼ばれる山)での暮らしが素朴で幸せな光景(モンハン好きで特にガンナー愛好家のわたしにはとても楽しい場面)。。事件とは無縁な老人たちに忍び寄る怪しい男たち。。突如一変する銃撃戦。。雪山での戦いが緊迫度MAX。。若造たちが自分たちの山で好き勝手は許さん的怒りに奮闘する老兵たちの壮絶な戦い(国家的な陰謀はあるのですが)。。相手の裏をかく吾郎兵の戦略。思いもかけない罠を仕掛ける猫爺。。かっこいい。。戦場を生き抜いた老兵たちがクソガキ(猫爺さんの御言葉を借りて)にやられるわけがないと応援しながら読む。。(でも年には勝てない。。悔しい)

結の懸命さや健気なポチっこ(吾郎さんの愛犬)にも心打たれる。。この2人の最期の場面は、、ただただ号泣でした。

 

実は武器の種類、威力や敵味方がよくわからない時もありましたが、、守るべき物への男のプライドと執念。。今年一番の感動が押し寄せてます。。