みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『勁草』 黒川 博行

 

勁草 (徳間文庫)

勁草 (徳間文庫)

 

おすすめ ★★★☆☆

【内容紹介】

橋岡は「名簿屋」の高城に雇われていた。名簿屋とはオレ詐欺の標的リストを作る裏稼業だ。橋岡は被害者から金を受け取る「受け子」の手配も任されていた。騙し取った金の大半は高城に入る仕組みで、銀行口座には金がうなっているのだ。賭場で借金をつくった橋岡と矢代は高城に金の融通を迫るが…。一方で府警特殊詐欺班の刑事たちも捜査に動き出していた。最新犯罪の手口を描き尽くす問題作!

 

【感想】

オレオレ詐欺。。「ひとの不安と情と虚を衝く」犯罪。。ゲーム感覚で高齢者からお金を騙し取る罪悪感の低さ。生活保護者など社会的弱者を雇い、ビジネスとして徹底された組織化。下層の人たちが、バイト感覚で詐欺の加担に気づかないことなどなど、、加害者側の視点から組織犯罪の実態が描かれ、驚かされる。。犯罪者たちは、自分勝手でどうしようもない人ばかりだし。。

 

業界用語↓
名簿屋=標的候補から個人情報を調べ上げ騙しのリストデータベースを作る。
掛け子=名簿を元に電話で騙す役。
受け子=被害者から金を受け取る。
道具屋=詐欺に使う飛ばし携帯、架空口座の調達。
番頭=掛け子と受け子のリーダー。現場統括者。
ケツ持ち=トラブル解決をする暴力団構成員。
金主=組織のトップ。オーナー。

 

中盤までの詐欺組織側の手口は読んでいて虫唾が走るが、、巧妙に個人情報(家族構成、所有資産、取引先金融機関、息子の勤務先、連絡先等)を引き出されていく高齢の方々の警戒の低さも、、とても怖い。。自分も気をつけなければと心から思う。。

中盤から後半への犯人と刑事の攻防戦。地道に地道に捜査をし、追いつきそうで追いつかない。。息がつまりそうな逃亡劇と追跡が繰り広げられたけど、読み応えが徐々に薄まってしまい、、最後は腑に落ちない終わり方。。それでも、いつかは被害者になるかもしれない身近な犯罪の罠など、勉強になりました。

 

「オレ、オレ、オレだよーー」はもう古いのね。。既に息子の個人情報は抜き取られてしまってるので、「〇〇だけど...」と電話がかかってくるのが今流?息子でも警戒心溢れるわ。
非通知はもちろん、知らない電話番号からの息子の電話は信用しないで、本物の息子に確認しましょう。。📞😌(...冷静に)