おすすめ ★★★★★
【感想】
名医でもなく悪医でもなく「普通の良医」10人の医師。。高度な医療現場ではなく、身近にいる全く違う立場の医師が悩みながら真摯に患者に対して寄り添う温かい短編集。
どのお話にもほんのり登場するお花。花のようにそっと人生を彩り、豊かにしてくれる。。そんなお話ばかりです。
どのお話も感慨深いのですが、特に良かったのが、、
「百日紅」父の死を機に帰省する息子。父と患者の思い出から見える医師としての父。。
「雨に濡れて」乳がんを患い、闘病しながら仕事をする女医。。
「終診」長年勤めた医師の引退までの数ヶ月。最後の日まで患者とかけがえのない時間を過ごす。。
作者自身が医師であり、大病を患う身となる。「患者と医師の垣根、生と死の境界線がどこまでも薄くなっていく時間」を経験したことが、人生の厚みを増していき、作品に表れているのだろうと、、あとがきからも感じられる一冊でした。