みみの無趣味な故に・・・

読書、時々映画の感想を書いてます。

『名画は嘘をつく』 木村 泰司

 

名画は嘘をつく (ビジュアルだいわ文庫)

名画は嘘をつく (ビジュアルだいわ文庫)

 

おすすめ ★★★★☆

 

【感想】

タイトル、モデル、景観、王室、設定、見栄、画家、天界、見方、ジャンル。。名画の様々な嘘。。

《タイトルの嘘》ムンク「叫び」叫んでるんじゃなくて、叫びから身を守ってるんだって。。夕暮れ時の死後の世界へ繋がる時刻(逢魔の時)の自然を貫く叫びという幻影。。これは驚き。

《モデルの嘘》音楽室に飾られてるバーバラ・クラフトの「モーツァルト肖像画」は死後に描かれたモーツァルト。。想像で描かれたそう。。画家として素人だったヨーゼフ・ランゲの未完のモーツァルトモーツァルト妻が「最も夫に似ている絵」と評したそうです。

《景観の嘘》現実の風景にありえない背景や建物が描かれたり、見た事もない風景を想像だけで描いたりと現実の風景よりも美しく描かれていくのも画家たちの美の理想の高さ故なのでしょうか?

ゴッホの「アルルの部屋」が好きです。写実的ではなく感情的に描いた作品。自分の感情を強烈な色彩で自由に表現するゴッホに惹かれます。

《王室の嘘》王室の命がけの生き方にダークファンタジーのよう。。肖像画へのわがままな注文。。加工はいつの時代でもあるんだなぁ。。笑。

《設定の嘘》銃殺、処刑、社会的事件。。怖すぎ。。

《見栄の嘘》国民の憎悪を背負うマリーアントワネットのイメージアップで描かれた「本を手にしたマリー・アントワネット」。。本好きアピール。。先日読んだ漫画『バーナード嬢曰く。』(読書家のフリに力を注ぐ女子の話)を思い出す。

《画家の嘘》温厚なピサロの過激な一面。無政府主義者ピサロの反体制的な絵。。一見穏やかな風景画だけど裏では込み上げる怒りが隠されてる。。

《天界の嘘》レンブランド・ファン・レイン「バテシバ」は観てると切ない。。水浴中に王に見初められた人妻バテシバは強引に関係を持たれ、夫を戦地で戦死させられる。水浴中に王の手紙を読み戸惑うバテシバの表情を描いた作品。見初められた瞬間と王の手紙の二つのエピソードを一枚の絵に描き、深い精神性を表現したそうです。素晴らしい。

《見方の嘘》フェルメールが唯一描いたメイドの絵「牛乳を注ぐ女」

当時のメイドは男主人を惑わす性的な存在として描かれることが多い中、忠実なメイドを称賛しているかのように映す作品。。素敵。

《ジャンルの嘘》18世紀のイタリア版寅さん。。「メズタン」イタリア喜劇のキャラの一人。まさかイタリアに車寅次郎がいたとは笑。


一枚の絵に込められた画家達の思惑、皮肉、メッセージ🎨。。鑑賞者の絵画の読み取り方でジャンルすら変わってしまう不思議な美術の世界。。絵画鑑賞、これからも楽しみ。。🖼🎶