おすすめ ★★★★☆
【内容紹介】
テレビ局に勤める早川俊平はある日公園で耳の不自由な女性と出会う。音のない世界で暮らす彼女に恋をする俊平だが。「君を守りたいなんて、傲慢なことを思っているわけでもない」「君の苦しみを理解できるとも思えない」「でも」「何もできないかもしれないけど」「そばにいてほしい」。静けさと恋しさとが心をゆさぶる傑作長編。
【感想】
8年ぶりに再読。
“言葉”という物が必要な時もあれば不必要な時もある。仕事で行き詰まる俊平は響子との筆談で語る静かな世界に癒しを感じる。仕事で帰国した俊平の前に突然消えた響子。失ってから気づく大切な存在。。何をどう伝えたら想いが届くのか。。
報道で務める俊平への同僚の言葉。
「子供って、誰かに伝えたいと思って、木に登るわけじゃないんだよ。木に登ったらどんな景色が見えるのか、ただ、それが知りたくて登るだけなんだよ。でもさ、年取ってくると、木に登らなくなる。万が一、登ったとしても、それを誰かに伝えたいって気持ちが先に立つ」
この言葉が響いたなぁ。