みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『たゆたえども沈まず』 原田 マハ

 

たゆたえども沈まず

たゆたえども沈まず

 

 おすすめ ★★★★☆

【内容紹介】

誰も知らない、ゴッホの真実。

天才画家フィンセント・ファン・ゴッホと、商才溢れる日本人画商・林忠正。 二人の出会いが、〈世界を変える一枚〉を生んだ。

 

【感想】

パリに渡り、浮世絵を売り、日本文化を広める日本人。。林忠正と加納重吉。
災害や苦境にに襲われても沈まない都・たゆたえども沈まないパリを夢見る青年たちが出会う一人の画商。。テオドルス・ファン・ゴッホ。この出会いで、、孤高の画家が生まれる。。まだ「印象派」が認められない時代に、日本美術を愛好する「ジャポニザン」が流行していく。。テオも浮世絵に魅せられていく一人。。重吉との交流を深めながら兄・フィンセントの才能を世に広めたい一心で、全力で支援をする。。日本文化に触れたフィンセントは、パリからアルルに旅立ち、創作意欲に精を出す。。ゴーギャンとの共同生活から、刺激を受ける一方、、精神不安定となり、、入退院を繰り返す日々を送り、、狂気と苦悩の世界を彷徨い出す。。

テオの献身的な支援と健気な想い。。支援を続けるための経済的もだけど、精神的な強さは計りし得ない力が必要と思わせる。。兄の為に強くならなければいけない。。フィンセントもテオもお互い生きる力として必要な存在。。家族が増え、明るい未来を夢見始めた時の最愛の兄・フィンセントの死。。テオの心をいかに砕いてしまったのか。。想像をするだけで、、胸が苦しい。。兄想いと弟想い。。新しい才能が置き去りにされた時代に苦しんだ兄弟の激しくて優しいお話でした。