おすすめ ★★★★★
【感想】
表題作「完璧な教室」
弟はいつでも、完璧な土曜日の記憶の中にいる。。余命僅かの弟と姉の完璧な病室でのひと時。。ゆっくりと別れが近づく。
この完璧な病室と現実世界との歪み。。。静かな時間の中で姉の激動の心の動きに狂気と喪失への安堵を感じられました。...
「揚羽蝶が壊れる時」
痴呆症の祖母との暮らしで正常と異常の境目に悩む女性の心境。。すごく共感できた。。異常性を認める現実から自分の正常さを否定していくこと。。陥入りそう。。
「冷めない紅茶」
同級生の葬儀でかつての同級生K君と再会。K君の妻(当時中学校の図書室司書)との暮らしに触れた「わたし」は現実の暮らしに小さな不満を抱き始めていく。。この話が1番狂気が高い気がする。。
「ダイヴィング・プール」
孤児院を営む両親の元で孤児たちと育つ彩。彩が小さな子供を世話する中で芽生えた「残酷な気持ち」。。感情をさらけ出す赤ちゃんへの嫉妬。。怖いよ。
どのお話も心の繊細な部分から歪みを生じ、、少しずつ狂っていく女性たち。。。怖いけど、、共鳴してしまう部分もある。。女性の心情の表現力が美しい。生々しい表現により、恐怖に陥ったり、、魅了された世界に心奪われる女性の表現なども、どこか不安定感で危ういのに、入り込んでしまう気持ちなど。。狂気なのに、とても透明感のある静寂な世界でした。。