おすすめ ★★★★☆
【内容】
十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ……。彼女はどんな気持ちで死んでいったのか――。わからない、取り戻せない、どうしようもない。心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。
【感想】
5つの連作短編集。
『骨を彩る』というタイトル。。どんなお話かと読んでいくうちに、、人間のどこか足りない部分。。どうしようもない部分。。骨が1本足りないような感覚。。それでも時間は過ぎていく。。そんな話でした。...
最後の「やわらかい骨」では幼い頃に母親を失った少女が友情と初恋に触れ、変化をもたらす前向きな物語。。冒頭の「十三歳だった。。。自分の骨を蝕んでいる黒いしみに気づいたのは。」という一文を読んだ瞬間、、既に希望という言葉を頭の中に浮かべながら、最後まで読みました。。
どのお話も、それぞれの主人公が大きく関わりを持たないけど、、一貫して「足りない」中でも補っていこうとする、とても繊細な物語ばかりでした。。彩瀬さん。。心がチクリとするけど、読んで行きたい作家さんです。