みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『ガダラの豚』 中島 らも

 

中島らも『ガダラの豚』全3巻セット (集英社文庫)

中島らも『ガダラの豚』全3巻セット (集英社文庫)

 

 

 おすすめ ★★★★★

 

長女を事故死で失う民族学教授で人気タレント・大生部多一郎(アル中)

妻の逸美は神経を病み、新興宗教にのめり込む。
視聴率に悩むテレビ局は「大生田ファミリーの呪術大陸アフリカアドベンチャー」という特番企画を立て、大生部家族、助手、超能力者、スタッフ数名を呪術師の村クミナタトゥへ向かわせる。
到着した一行は村が大呪術師バキリ☠️により呪われている事を知り、バキリと面会をする。そして最大の禁忌、、バキリの最強キジーツ(呪具)を攫い逃げる。バキリはどこまでも追いかけてくるの😱呪いをかけられ変死続々😱
大生田ファミリーの命がけの闘いと家族愛。。ほんとに壮大なエンターテイメントでした。
(神経を病んでいた逸美がメキメキ強くなっていく。。子供を守る母の愛とアル中の夫への厳しい妻の愛が逞しくて素敵な女性でした。)

驚きなのは著者の参考文献の多さが物語る超能力、超常現象、呪術、占術、宗教の知識。。そのトリックを科学的、物理的、文化的背景、心理学などの様々な観点や過去の歴史的な呪い、マジックの例をあげながら、暴いていく。。さらに宗教の洗脳の仕組みから洗脳はずしの仕組み。。呪術国アフリカ的裁判のお話などなど。。なかなか興味深い。。

光と影。救いともなり恐怖ともなる。。
呪力が強力であればあるほど、恐怖に陥り、救われたい一心で信奉していく。。
宗教も不安を抱え込む心の葛藤の中で奇跡的な力を見せつけられた時、、絶対的存在として心に根強く植え付けられていき、希望の光を求め、信仰していく。。
どちらも洗脳と暗示で暴徒化していき、、疑問を抱く事なく震撼する事件に発展していく恐れもある。。
深く知れば知るほど、興味と恐怖の世界でしたが、、とても面白いストーリーだったので、楽しかったです。