みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『アントキノイノチ』 さだ まさし

 

アントキノイノチ (幻冬舎文庫)

アントキノイノチ (幻冬舎文庫)

 

 おすすめ ★★

 

内容(「BOOK」データベースより)

杏平はある同級生の「悪意」をきっかけに二度、その男を殺しかけ、高校を中退して以来、他人とうまく関われなくなっていた。遺品整理会社の見習いとなった彼の心は、凄惨な現場でも誠実に汗を流す会社の先輩達や同い年の明るいゆきちゃんと過ごすことで、ほぐれてゆく。けれど、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知り…。「命」の意味を問う感動長篇。

 

永島くん。。高校時代の親友に裏切られ、、心の病に。。遺品整理の会社で働き出す。。。様々な死の痕跡と出会い、、学生時代の忌まわしい過去を乗り越える話。。

心の病、、遺品整理業、、凄まじい現場、、プロの仕事、、生命の重さ。。
「テーマ」がとても興味深いことばかり。。

「生命の重さ」本中でもあったタクシー強盗殺人の被害者。2万円と命を奪われる。妻の心に寄り添いながら、現実の残酷さに悲嘆する。。。生命は値段ではないが、、たったそれだけの金額で命を失う事件や、、裁判の結果、被害者に支払われる損害賠償金など。。。値段で判決されると、、虚しさを感じてしまう。。。命はお金に代え難い財産。。。大切にしてほしいとつくづく思う。。

 

死も過酷だけど、、生も過酷ね。。。
生き死のことについての感想はとても難しい。一つの「死」にも家族や友人の中で壮大なドラマがある。一つの「生」も同じく。。。その事に少しでも触れる事のできる仕事への過酷さと人生の幅を大きくしてくれるかけがえのない経験が、、怖いような、、うらやましいような。。でも実際の現場の壮絶さを考えるととても安易にできる事ではない。。そういうお仕事の人達の存在で助けられる遺族と仏様。。

一昨年から、、読みたいリストに入れていた『遺品整理業』の本。。リストから出さないと。。。