みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『ノルウェーの森』  村上 春樹

 

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

ノルウェイの森 文庫 全2巻 完結セット (講談社文庫)

 

 おすすめ ★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。

あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにすること、あらゆる物事と自分の間にしかるべき距離を置くこと―。あたらしい僕の大学生活はこうしてはじまった。自殺した親友キズキ、その恋人の直子、同じ学部の緑。等身大の人物を登場させ、心の震えや感動、そして哀しみを淡々とせつないまでに描いた作品。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。

 

学生の時に読んだ人生初の村上作品。再読してみた。当時、何て暗く静かで性描写の多い話なんだろうと思った。ただいやらしさは感じない。感覚は昔とはあまり変わらないけど、、、あの頃に感じた漠然とした喪失感が、今だと、もう少し現実を帯びて感じる。死というものがもたらす影響力と生と死の境界線の不安定な部分。直子が死で緑が生を感じる。

ただ残念なのが、人物について。主人公のワタナベくんがどうしても苦手で彼を取り巻く女性たちもあまり理解できない。笑。文章に引き込まれてしまうのは確か。とても綺麗に描こうとしているのが、読んでいてわかる。