みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『怒り』 吉田 修一

 

怒り(上) (中公文庫)

怒り(上) (中公文庫)

 

 

 

怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

 

 おすすめ ★☆

 

内容(「BOOK」データベースより)

若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。そして事件から一年後の夏―。房総の港町で働く槇洋平・愛子親子、大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた。山神一也は整形手術を受け逃亡している、と警察は発表した。洋平は一緒に働く田代が偽名だと知り、優馬は同居を始めた直人が女といるところを目撃し、泉は気に掛けていた田中が住む無人島であるものを見てしまう。日常をともに過ごす相手に対し芽生える疑い。三人のなかに、山神はいるのか?犯人を追う刑事が見た衝撃の結末とは!

 

殺害現場に「怒」という血文字を残し犯人は逃亡する。東京、千葉、沖縄、それぞれの場所に正体不明の男が現れる。

前半部分ではそれぞれの男に関わる人が徐々に心を許していき、信頼関係を築いていく。難航していた殺人事件の公開捜査が開始され、そこから疑惑が・・・。

3人の中の誰が犯人?全て犯人と思ってしまうほど怪しい。犯人同様、それぞれの男と関わる人達の日常もどこか物悲しく、とても興味深い。

人を信じ抜く怖さ、不信に陥る心の脆さ。人ってそんなに強くないの。。その通り。