みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『アナン』 飯田 譲治

 

アナン、(上) (講談社文庫)

アナン、(上) (講談社文庫)

 

 

内容(「BOOK」データベースより)

東京に初雪が降った夜、高級料亭のゴミ置き場に、生まれたばかりの赤ん坊が捨てられていた。その子を発見したのは、流という名の記憶喪失のホームレスだった。拾われた赤ん坊は「アナン」と名付けられ、流と仲間たちによって育てられる。やがて、アナンの周囲で不思議な現象が次々と起こるようになる―。

 

アナン、(下) (講談社文庫)

アナン、(下) (講談社文庫)

 

 

内容(「BOOK」データベースより)

海辺の町に移り住んだアナンは、モザイク製作にその才を発揮し、周囲の人々を驚かせる。彼の作品は美しく、観る者すべてを癒す、神秘的な力を宿していたのだ。アーティストとしての人生を歩み出したアナンが、「未来」という名の扉を開ける―。大きな感動を呼ぶ、スピリチュアル・ファンタジーの最高傑作。

 

友達におすすめされた本です。心が洗われる、深く突き刺さるという感情よりも心が挫けそうにも壊れそうにもなりました。とにかくめまぐるしい感情になるほど、盛り沢山なないようです。

上巻までは、ストーリーを楽しみました。ホームレスの人達が赤ちゃんを大切に育て上げるドタバタ劇と流の過去の秘密、、アナンの隠された能力とは?と。読み続けていく内に、真実を知りたいという、ミステリー部分に惹かれていきました。下巻に入り、アナンが成長し、彼の能力に少しずつ触れていくたびにわたしは図々しいと思われるでしょうが、とても共感部が出てきました。アナン程、純粋でもなく、感受性がこれほど繊細ではありません。しかし、「拒絶をしない」彼に誰もが、打ち明けていく。。そして彼が孤独に苦しむ。。ここがとてもわたしは心苦しく感じられました。。わたしは大人であり、流すという術を得ましたが、まだ小さいアナンが友達や大人の凄まじい告白に心を痛めている気持ちはとても辛く恐怖に感じたことでしょう。。その感性を芸術という場に発揮される彼をただただ憧れ、素晴らしいと単純に手を叩くわけにいかない自分。。。と、アナンの心情に心が流されました。