みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『羊と鋼の森』 宮下 奈都

 

羊と鋼の森

羊と鋼の森

 

 おすすめ ★★

 

内容(「BOOK」データベースより)

ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。

 

とっても心地よいお話。ピアノ、調律、夢、羊、音色、志し、成長、優しさ、ふたご、森。。。キーワードを並べてみてもわかる通り、悪意というものがひとつも出ないお話。ピアノの「音色」を表現する言葉が一つ一つ美しい。調律師は音を奏でるピアニストの裏方さん。調律師の仕事内容でピアニストの音が変わる。技術がどんなに良くても調律一つで不協和音になる。主人公の青年はとてもロマンチストで繊細。仕事に疑問を抱き、悩み、自信を持てない青年がふたごの少女と出会い、調律師という仕事の本当の喜びを見つける。

 

私の少女時代。。。ピアノの調律師さんが鍵盤を強く叩いて、音の反応を聴いていたのを思い出した。8年近く毎日練習をさせられていた私は少しうんざりする時もあったけど、調律してもらった日は、とても音が耳心地よくなめらかな音が響いて、練習曲以外の曲を弾いてしまうほど楽しかった。なんて事を思い出した本でした。