みみの無趣味な故に・・・

読書感想、本にまつわるアレコレ話。時々映画、絵画鑑賞の感想も書いてます。

『マイ・マザー』

 

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<ストーリー>
僕はユベール・ミネリ、17歳。ケベック州のなんでもない町で、他の誰とも変わらない退屈な青春の日々を送っている。最近ひとつだけ、どうしても許せないものがある。趣味の悪いセーター、貧乏臭い部屋のインテリア、食べかすだらけで小言しか言わないやかましい口元まで、なにもかもが耐えられない存在 ―? 僕の母親だ。「なぜこんなにも受入れがたい存在なのか」、僕は自問する。人は「親は敬うべきだ」と言うが、僕には理解できない。僕は息子に向いてないのかもしれない。あの母親の根っこには、他人への愛を素直に表現できない矛盾した人間性が脈々と流れているに違いない。うるさく僕をコントロールしたがる母、次の瞬間には罪悪感を覚える母。そんな不安定な感情を持て余し、行きどころを失くして僕にぶつけてくるのだ。そんなものに付き合っていられるか。ユベールは、毎日この欠陥だらけの母親の愛情過多と愛情不足の矛盾に振り回され、かつては大好きだった母への憎悪が膨らみ、制御しきれずにいる。ヒリヒリするティーンエイジャーならではの「理由(ルビ:わけ)のない苛立ち」に耐える日々に嫌気がさしているユベールは、ある日偶然に、幼いころから親しんだセント・ローレンス川沿いの真っ赤な夕陽の下、母親が土手に腰掛けているのを見かける。野カモの群れの神秘的な声があたりに響いている。不意にひとときの安らぎを覚えるユベール。それはイノセントでただひたすら楽しかった昔の情景だった……。幼少時代へのノスタルジーに、不器用に折り合いを付けようともがく少年ユベールの決別のとき。17歳、僕は、母を、殺した――。

 

17歳、僕は、母を、殺した。。。とても衝撃的な言葉。母と息子の確執。ユベールは母をとても愛してる。もちろん母も。愛情が深い故にどうしても許せない母親への嫌悪感。途中、ユベールが母に対する想いを独白するシーンが入る。この孤独なユベールにとても泣けてくる。かけがえのない大切なものだからこそ、傷つけてしまうほど自分も大きな傷になる。お互いが想い合ってるのに止まらない傷の付け合い。「ママと仲良くなりたい!!」って苦しむ息子といい母親になろうとしているが空回りをする母親。これはとてもリアルな母と息子の関係性だと思う。

私にも16歳の息子がいる。反抗らしい事がなく、穏やかに過ごしたが「もっと母親らしく躾けてほしい。」と言われたことがある笑。。。。わたしは人を教育することに欠けている所があり、自分に自信がない。情けないと思う事もあったが、母親らしさって何?息子の理想の母親って?と悩んでみても答えがわからない。ごめんなさい。少しずつがんばります。

 

最初から最後までとても苦しい映画だったけど、観て良かった。映像も音楽も美しい。

いつまでも可愛い子供でいるわけではない。大人になるまでの通過点とはいえ、親子関係はとても重く深い事なのね。

「今日、僕が死んだら?」「明日、わたしも死ぬわ」

永遠のテーマ。。。死ぬまでわからないわ。。。